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ボヤボヤの視界だけど、目の前の飛鳥さんが私のほっぺたをあげ続けてるのは感覚としてわかってしまう。
飛鳥「小川さんは、頑張ってるよ」
美彩「大丈夫大丈夫。ちゃんと呼吸しようね」
真夏「不安になるよね。センターになってない私も毎回不安だもん」
飛鳥さんの言葉を聞いて座り込んでしまった私の背中を擦りながら優しい言葉をかけてくれるのは近い立ち位置の衛藤さんと秋元さん。
人の言葉ですり減った心なのに、人の温かさにどうしようもなく安心して、涙が止まらなくなる。
日村「よかったよかった!小川が弱いところ出せてるの見れて安心!」
日村さんの明るい声がすごく響く。
弱いところは見せたくなかった。自分の弱さを外に出したら、そのことがさらに自分を弱くすると思ってる。なのに、今の私は信じられないくらい弱いところを見せてしまった。
設楽「乃木坂はみんな優しいからさ、みんなに支えてもらいながら頑張ってな?」
顔を上げたら笑顔の桃子と白石さんに西野さん。
横には飛鳥さんと衛藤さんと秋元さん。
ひな壇の皆さんとスタッフさんもこっちを見てる。
里奈「なんかあったらうちらが守る!」
未央奈「お姉さんたちが支えるから!」
横と後ろから私なんかよりもっと厳しい状況でセンターに立たれた2人が励ましてくれる。
こんな姿を皆さんに見られてしまっては、収録中にカメラの前だからと捻り出したコメントが恥ずかしい。
「ありがとうございます」
桃子「一緒に頑張ろ?」
「え、」
桃子が私の隣にしゃがみ込んでニコニコしてる。
桃子からこんな言葉をもらうとは思ってなくて、耳を疑ってしまう。
いつもの泣き虫はどこにいったの。
「がんばる、」
乃木坂は思っていたよりももっとずっと暖かいグループかもしれない。
ただ私はこんなに暖かいところにいていいほどの人間になれてない。たった1人を満足させるために戻ってきていい世界でも、足を踏み入れていいグループでもなかった。
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作者名:yurima | 作成日時:2024年2月6日 23時