14 ページ14
.
バースデーライブは乃木坂46にとって大切なライブらしい。全曲披露というとてつもないライブ。
昨日の橋本さんの卒業コンサート。すごく素敵だった。
三期生もあんなアイドルになれるように頑張らなきゃいけないのか、と乃木坂46という存在の大きさを実感した。
飛鳥「顔色めっちゃ悪いよ」
美彩「大丈夫?」
本番直前。出番を終えた先輩方が三期生のところへ来てくれた。
あっち側の階段の前で白石さんや生駒さんが桃子を宥めてる声がする。
顔色の悪さはステージに立つ前の恒例行事のようになってきた。プリンシパルの時も自分では大丈夫だと思ってたのに与田に信じられないくらい顔色悪いって真剣な顔で心配された。
「大丈夫だと思います、」
飛鳥「ほんとに?」
「お見立て会の時もプリンシパルの時も同じこと言われたので」
齋藤さんはなぜか私のことをよく気にかけてくださる。
美彩「無理しないでね」
イヤモニをいじりながら走って行った衛藤さんは本当に綺麗な人だなぁと惚れ惚れしてしまう。
先輩方との顔合わせで衛藤さんを見てあまりに綺麗で目が離せなかった。今初めてお話ししてる。
飛鳥「頑張ってね」
齋藤さんも衣装替えのためにバックステージの奥の方へ行ってしまった。
ステージに駆け上って見えた三万五千人のサイリウムの世界は、これまで見た景色の中で圧倒的に圧巻だ。
アイドルになってしまったんだ。
人はなぜ走るのかが終わったら強がる蕾。
桃子と二人でセンターステージまで戻るんだけど、信じられないくらい泣いてる。
スタッフさんからは手振りながら歩いてねと言われたけど、こんなに泣いてる人をほっとけない。
腕を掴んで顔を覗き込めば、泣きじゃくりながら驚いてる。
_「都会の暮らしに期待と不安入り混ざって」
ずっと私が桃子の顔しか見てないから、流石の桃子もおかしく思ったのかやっと笑ってくれた。
信じられないくらい泣いてて手が震えてるのにマイクの位置はブレないところ。ずるいなぁって思ってしまう。
.
455人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:yurima | 作成日時:2024年2月6日 23時