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桃子「さっきはごめんなさい」
私を目指してとぼとぼ歩いてきた大園さんは泣き腫らした真っ赤な目で体操座りした私に謝ってる。私を含めた12人の視線が大園さんに向かってる。
1時間の待ち時間は振り入れをする訳にも行かず、それぞれの自主練習の時間になった。
私が立ち上がろうとすると、横にいた2人が声を上げた。
美波「桃子には見えてないだろうし、Aもみんなに見せてないけど、Aは努力してる。いくら桃子でもあんなこと言って欲しくなかった」
美月「Aが1人でできるように見えるのはAの努力の結果だよ。それを知らずに桃子は嫌だとかふざけないで」
2人の真剣な目と大園さんの真っ赤な目があまりに対照的すぎて心が痛くなる、
「私が、頑張ってるところを人に知られたくないだけだから、むしろああやって言って貰えたのは嬉しかった。私の頑張りはちゃんと隠せてるんだって思ったよ」
美波「A!やさしすぎるよ」
「お互いこれまで見てきた世界とか真反対すぎるから分かり合えないのは多分しょうがない。でも三番目の風の真ん中はこの2人だって選んで貰ったからには、2人で頑張りたい」
これまでのどかな地方で過ごした大園さんと子役として仕事をするという世界で育ってきた私では見えるものがきっと全然違う。
それはもうしょうがない。
でもせっかく乃木坂46という場所で出会えて、シンメトリーな位置に立つんだから、分かり合えなくても寄り添える関係になりたい。
桃子「桃子も、」
「うん」
美波「2人がそれでいいならいいよ。よし!13人で三番目の風を最高の楽曲にしよう!!」
葉月「がんばろーう!!」
きっと今日のことは絶対忘れない。
私と大園さんのズレにみんなを巻き込んでしまったことは申し訳ないけど、大園さんとやっと目が合った大切な思い出。
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作者名:yurima | 作成日時:2024年2月6日 23時