うさゆの。【秋の特別編2】 (ページ36)

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84.伝説の結末ページ36

温泉宿ができたことにより、遠方からの客足も増え
村は少しずつ潤いを見せ始めていた。

娘はというと、温泉宿で仲居として働く毎日。

決して贅沢はできないが、人並み程度の生活が送れるまでになっていた。

ところが、連日予約客でいっぱいのはずの旅館に
どういうわけか、お客が一人も来ない日が・・。

するべき仕事も全て終え、お客もいないしせっかくだから・・と
娘は、湯に浸かることにした。

疲れた身体を癒しながら、娘は思った。

こうして温泉が見つかり、私が食べる物に困らない生活を
送れるようになったのも、あのウサギのおかげだと。

父が亡くなった時も常に自分のそばに寄り添い
励ましてくれたのも、あのウサギだった・・と。

そう。

普通では考えられないことだが、娘はウサギに
密かな恋心を抱いてしまっていたのだ。

そして、空に浮かぶ綺麗な満月に向かい、こう呟いた。

”願わくは、私をあのウサギのお嫁さんにして下さい”・・・と。

A「ま、まさか・・」

キュ「僕が聞いた話では、その後、娘は忽然と
姿を消してしまったそうです」

YH「願い通り、ウサギになったっていうのか？その娘が・・」

CM「そして、Aさんが入っていた湯っていうのが」

キュ「はい。その言い伝えに出てくる温泉です」

YH「しかも、今日は満月・・。ってか、こんなの嘘だろ・・・？」

キュ「嘘かどうかは、目の前のAさんの姿を見れば
一目瞭然なのでは？」

みんなの目が一斉に私に向けられる。

A「ユノ・・。私、どうしよう・・」

急に目の前が真っ暗になり、絶望感に襲われる。

ウサギになっちゃいました・・なんて、そんな馬鹿げた話
信じてくれるのは、ごく一部の人たちだけだ。

こんなこと、常識じゃ絶対にあり得ないんだから・・。