うさゆの。【秋の特別編2】 (ページ26)

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75.あなたはヒーロー？ページ26

A「は、放してよ！私、本当はウサギじゃないんだからっ！」

「ごちゃごちゃうるせーよ！いいから俺の相手しろって！」

A「やだっ！だ、誰か・・助けて！！」

「これは、これは・・レディに乱暴とは穏やかじゃないですね」

A「！！！」

「ア、アニキ！」

突然現れた一匹のウサギ。

艶やかな茶色い毛並をたなびかせ、私達の間に割って入った。

このイケメンなウサギは一体・・。

「あれほど言っただろ？満月の夜は山を下りるなと」

「あ、あのですね・・・」

「言い訳をするな。どうせまた女湯を覗きに性懲りもなく
やってきたのだろう」

A「覗き？！なんてやらしいウサギなの！」

「うるせー！そのおかげで、お前は助かったんだろうが！
文句言うんじゃねーよ！！」

あ。

確かに言われてみれば・・。

「年上の・・しかも女性に向かって、そういう口のきき方はやめろと
あれほど言っておいたのに・・」

そのイケメンウサギが冷たい眼差しを向けると
ナンパウサギの脇腹を足でど突き、転がした。

「うっ・・」

「満月の夜は特に性的な欲が強くなる・・。だから無闇に下りてくるなと命じたのに。
お前一羽の行動が、他の者たちに迷惑をかけることになるんだぞ」

「す、すみません・・。もう二度と・・」

「分かったなら、さっさと山に帰れ。身重の女房が待ってるんだろ？
今日のことは見なかったことにする」

「アニキ・・本当にすんませんでしたっ！」

ペコペコと何度も頭を下げながら、山に帰っていくナンパウサギ。

何なんだ・・今のやり取りは。

まさか、ウサギの世界にも極道が存在している・・・とか？

アニキと呼ばれたこのウサギが発するオーラにやられ
完全に足がすくんでしまった。