うさゆの。【秋の特別編2】 (ページ19)

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68.募る不安ページ19

YH「ったく、Aのやつ。どこに行っちまったんだ・・」

栗林さんに部屋を見て来てもらったら、戻った形跡がないと言われた。

うさゆの会のメンバーたちにも、あちこち捜してもらってはいるけれど
影も形も見当たらず・・。

どうせすぐ見つかるなんて高を括っていた心に
少しずつ焦りが見え始めてきた。

CM「ヒョン！」

YH「チャンミナ！いたか？！」

CM「いえ、まだ。でも桜子が何か見つけたみたいで・・。
とにかく一緒に来て下さい」

チャンミンに引っ張られ連れて行かれた先は・・。

YH「女湯・・？」

桜子「ユノさん！これ！」

そう言って見せられたのは、一枚の浴衣だった。

桜子「これ・・Aさんのかな」

間違いない。

このふわりと香る僕が好きな匂い。

YH「Aの浴衣だ・・」

CM「な～んだ、よかったじゃない。中でのんびり温泉にでも
浸かってるんでしょ？ヒョンのこと恨みながらね。あはは！」

桜子「それがね・・いないの」

YH「いない？それ、どういうこと？」

桜子「お風呂場を覗いたら、誰もいなくて・・。
外にある露天風呂も一応見たんだけど、そこにも・・」

CM「はぁ？じゃあAさんは今、素っ裸でどこにいるって言うんだ」

裸・・。

急に嫌な予感がし始めた。

まさか一人で風呂に入ってる時に、誰かに襲われでもしたんじゃないだろうな！

いや、そしたら悲鳴が上がって、すぐ誰かに気付かれる・・。

じゃあ、衣服だけ残して一体どこに？

あぁ・・くそっ！

忽然と姿を消すなんて、そんなオカルトじみたことがあってたまるか！

CM「ヒョン・・」

桜子「とりあえず、旅館の人に言って捜してもらいましょうよ。
服だけ残して消えるなんて、ただごとじゃないわ・・」

震える桜子さんをチャンミンが抱き寄せ
落ち着かせようと優しく背中をさする。

そんなチャンミンの目も、どこか不安の色を隠しきれないでいた。

YH「そうだな・・。とりあえずフロントに・・」

「これは、これは・・鶴の間のお客様。もう宴会は
終わられたのですか？」

聞きなれた声に反射的に顔を向けると、そこにはさっきの酔っ払い騒動で
場を静粛させた立役者、キュヒョンが立っていた。

しかも、その胸には真っ白なウサギを抱きかかえて・・。