65.泡に包まれて･･･ ページ16
ガラガラガラ・・。
女湯ののれんをくぐり、脱衣所の戸を開けると
不思議なことに誰も入っている気配がなかった。
まぁ、いいや。
かえって一人の方がのびのびできる。
さっきは時間もなかったから、ろくに浸からないで出ちゃったしね。
A「ふぃ〜〜。いい湯だなぁ〜〜」
両手両足を伸ばしても浴槽ににぶつからないなんてサイコー！
家の何倍もある大きなお風呂で一人ぬくぬくとしていると
外にも別のお風呂があることに、ふと気が付いた。
A「あら・・露天風呂？昼間は気付かなかったけど・・」
カラカラカラ・・。
そっとガラス戸を開けて外の様子を伺う。
A「うわぁ・・ステキ！」
今日は満月だったようで、空にはぽっかりと綺麗な月が
浮かんでいた。
紅葉がほどよくライトアップされ、真っ赤なもみじが
ふわりと水面に浮く光景は、まるで写真のように綺麗で・・。
思わず感嘆のため息が漏れた。
A「ここも独り占めしちゃおうっと♪」
ん？室内のお湯は乳白色だったけど、ここのは違うんだ。
見た目普通の透明なお湯みたいだけど
これも美肌効果あるのかな(笑)
って、いくらお肌をすべすべにしたって意味ないかもね。
だって、どうせ今頃ユノは・・。
A「あ〜〜もうっ！ほんっと腹立つ！！」
思わず水面をパシャンと叩いた。
すると・・・。
ゴボゴボゴボゴボ・・・。
A「・・何、この音」
おまけに足の下からは、ズズズっと響くような感覚。
音は鳴り止むどころか、より一層激しさを増してきた。
A「な、なんか・・出た方がいいかも・・・」
そう思った瞬間。
お湯の中から大量の泡が吹き出し、あれよあれよと言う間に
その泡が私の身体まで取り込み始めた。
A「何よこれ！早く出なきゃ・・」
危険を察知し、立ち上がろうとしたけれど見えない力のせいで
お湯の中に引きずり込まれ、完全に身動きが取れなくなっていた。
A「うっ・・ごほっごほっ・・。だ、誰か・・たすけ・・・」
むくむくと増え続ける気味の悪い泡に包まれ
どうすることもできず・・。
私はそこで意識を失った。
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作者名：ぽぽ | 作成日時：2014年11月26日 2時
