うさゆの。【秋の特別編2】 (ページ15)

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64.印象的な人ページ15

偶然にも私を支えてくれた長い腕の持ち主は
しょい籠の男性、キュヒョンさんだった。

キュ「こうして手を貸すのは、二度目ですね」

A「昼間のこと、覚えてらっしゃったんですね？」

キュ「もちろん。危うく崖の下に落ちそうになった女性ですから。
忘れたくても忘れられません」

ドキッ・・。

何だろう、この目。

くりっとした人懐っこい大きな目に見つめられて
なんだか逸らせない・・。

A「あ、あの・・その節は助けて頂いてありがとうございました」

キュ「いいえ(笑)丁度、山菜を取りに山に入っていた所だったんですよ。
大事に至らなくてよかったです」

A「山菜・・。だから、しょい籠を？」

キュ「えぇ。なかなか似合ってたでしょ？(笑)」

ニコっと笑いながら、しょい籠を背負うジェスチャーを
私に見せるキュヒョンさん。

なんだか面白い人(笑)

キュ「ところで、鶴の間の宴会は終わったのでしょうか？」

A「え？」

キュ「そろそろ終了のお時間だと思いましたので」

宴会。

その言葉で、また思い出してしまった。

キュ「あの・・」

A「さぁ、終わったんじゃないですか？私、先に出てきちゃったので
よく分かりません」

キュ「そうですか。あ、もしよろしければ当旅館名物の
うさぎの湯で疲れを癒していって下さいね」

A「ありがとうございます。では、私はこれで」

キュ「・・・」

私の態度がおかしかったのか、キュヒョンさんが
不思議そうな顔をして私を見つめていた。

宴会って言葉を聞くだけで、イライラが再燃する。

それに、あのデレデレしたユノの顔も。

あ～むしゃくしゃする！

このまま部屋に戻ってもすることもないし・・そうだ！

せっかくだから、一人でゆっくり温泉にでも浸かってから帰ろうかな。