うさゆの。【秋の特別編2】 (ページ11)

今日:9 hit、昨日:8 hit、合計:141,875 hit

60.花だより-1 ページ11

”栗林さん・・そろそろいいんじゃない？”

店長が私に目で合図を送る。

黙ってコクンと頷く私。

花「なんちゃって～！今のぜ～んぶドッキリでしたぁ！
Aさん、どうでしたか？びっくりしました～～？(笑)」

って・・あれ？

Aさんは？

花「Aさ～ん？どこですか～～？」

「あら・・千代田さん、いないわね」

「さっきまでここにいたのに・・」

そんな・・。

今回の旅行、表向きは”うさゆの会慰安旅行”っていう名目だったけど
実は水面下では、もう一つの計画が進められていたのだ。

それはさかのぼること二週間前----。

その日、Aさんがお休みということ以外は
いつも通りの穏やかな休憩室だった。

YH「あー、みんなお疲れ様！」

姫路「あら、店長。一息入れに来たの？」

YH「えぇ」

姫路「ねぇ、ねぇ。今、私たちで話してたんだけどぉ～」

今ここで、うさゆの会の数人が井戸端会議で話していた話題。

それは・・。

姫路「店長って、彼女いるの？」

YH「え？」

花「ちょっ・・姫路さん！いきなりそんなこと聞いて
ぶしつけですよ！」

姫路「だってぇ～。店長ったらモテるくせに、そういう話
全然してくれないんだもん」

YH「・・・」

姫路「隠さなくたっていいじゃない。いるんでしょ？
彼女の一人や二人」

YH「そんなに聞きたいんですか？」

姫路「もちろんよ！私はともかく、ガチで店長のこと狙ってる人だって
いるんだから。この際ハッキリさせた方がいいわよ」

私はともかくですって？

姫路さん、よく言うよ。

あなたが一番ガチ狙いなんじゃないの？

親睦会の時、店長の隣にずーっと居座ってたのは
どこの誰でしたっけね！

YH「はぁ・・。まぁ、隠す必要もないので言いますけど」

店長が次に何を言うのか、固唾を飲んで見守るオバちゃんたち。

誰かのゴクリと喉を鳴らす音が聞こえた。

YH「付き合っている彼女はいます。でも勘違いしてほしくないのは・・」

店長が小さく息を吸って言葉にためを作った。

YH「一人や二人っていう言い方をされるような適当な付き合いは
していないってことです」

姫路「そ、それは言葉のあやで・・」

YH「僕の大切な人は、ただ一人。惣菜部の千代田さんだけだ」

あ～あ・・。

言っちゃったよ、この人。