どうやら常識が伝わらないらしい～さぁん～ (ページ12)

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責任とはページ12

「寒くはないか！」

「ええ……全く」

　私は一つの布団からはみ出さないように、煉獄さんとピッタリくっついている。床は冷たいため、座ったまま寝る。

「先日は、悪かった」

「……気になさらないでください」

　きっと下着の件でしょう。(一方とは参照)まぁ、私としては掘り出して欲しくないのですが、彼なりに気にしているようなのでこれを機に忘れてもらいたい。

「いや、気にする。嫁入り前娘に、恥をかかせてしまったのだ。それ相応の責任を取ろうと思っている」

「それ相応の責任って」

　どうするつもりですか？と聞こうとしたら、いきなり押し倒された。私と彼は寝巻きで、部屋には二人きり。そこで押し倒されたら、ヤバい。

「俺がAを娶る。その為に、俺以外に嫁に行けないような体にする」

「や、やめてください煉獄さん」

　私は体をよじらせ、逃げ出そうとするが全く動かない。さすが鍛えてらっしゃる。って、そんなこと考えてる場合じゃない。

　てか、しれっと呼び捨てにしたよ。この人……

「どうやら、本気で好きなようだ。耐えてくれないか？」

　告白のつもりだろうか。私は怖くなり、彼を見つめたまたフリーズしてしまった。本気で、この状況で告白してるなら……狂気を感じる。

「鬼が裏でお前に子を産ませる計画を進めていると、耳にした。鬼の物に……なるくらいなら」

　彼は苦虫を噛み潰したような顔をしている。たぶん、彼の私に対する好意に嘘はないだろう。

　想い人のそんな噂を聞いたら、焦るに決まっている。

「……私には、皆さんが、煉獄さんがいます。なにかあったら、守ってくれるんですよね？」

　珍しく、弱気な声で嗚呼。と返してくれる。私は落ち着かせるように彼を抱きしめた。

「なら平気です。煉獄さんは強いですから」

　遠回しに自ら鬼の方へ行くつもりは無い、と伝えると彼は申し訳なさそうに私の腕を解き、上から退けた。

「すまなかった」

「いえ、それより、弱気な煉獄さんという新しい一面が見れて嬉しいです」

　そう言って、私たちは何も話さないまま夜を明けた。