第一月曜日 ページ2
「あら、帰る場所がないの?それは大変ね」
母親は驚く様子なく、また疑う様子なく心配そうに、真剣に宇髄の話を聞いた。派手なことが好きな彼だが、藁にもすがる思いで地味に経緯を説明する。
「でもここ、六畳一間だから貴方を泊めるには狭すぎるの、ごめんなさい」
謝る母は、何かを思い出したようにスマホでどこかに電話をかけ始めた。宇髄はその機会に興味を示しながらも、話を折ってはいけないと思い、そっと我慢する。
「あ、Aちゃん。実は少し来てほしくて」
その後も、うんうんと返事をしながらスマホで電話する。察しの良い宇髄は、それの先には誰かがいて、会話をしているということに気がついた。ますます興味が出てくる。
「娘がこっちに来てくれるみたいだから、おうちはそのときに探しましょう」
「娘とは一緒に住んでねぇのか?」
核家族があまり浸透していなかった大正時代の人間としては、とても考えられないようなことだ。もちろん現時点で大正時代の人間と知らない母親は、その言葉の意味を理解しておらず。ええ、と軽く答えた。
「元々はこの家で二人で暮らしてたんだけど、私の母が亡くなって。亡くなった祖母の一軒家に娘が住んでる状態よ」
その言葉に、宇髄はさらに疑問が出てくる。祖母もいたのに、なぜ一緒に暮らしていないのかと。そして不意に、自分の愛する嫁が頭の中に浮かび、胸が苦しくなった。
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りまる - 感動しましたぁぁぁあ(TーT)最後のうずいさんの言葉もめっちゃよっかたあぁ(めっちゃないてめがはれてる) (2020年10月14日 19時) (レス) id: 3174c4ac03 (このIDを非表示/違反報告)
うささん(プロフ) - Turenさん» ありがとうございます!やはり原作に沿わせるような終わらせ方にしたかったので、生存ルートなどなしに…こんな形となりました。本当に読んでくださってありがとうございました! (2020年3月12日 2時) (レス) id: bf4eafc009 (このIDを非表示/違反報告)
Turen - 終わり方めちゃくちゃ悲しかったけど、その文めちゃくちゃ面白かったです!こんなに素晴らしい作品を執筆してくださり、本当にありがとうございます!! (2020年3月12日 1時) (レス) id: 371644a157 (このIDを非表示/違反報告)
うささん(プロフ) - ふらくとすさん» ありがとうございます!皆様に見ていただけたおかげで、ここまでやって行けました! (2020年3月9日 1時) (レス) id: bf4eafc009 (このIDを非表示/違反報告)
ふらくとす(プロフ) - とっても面白かったです!!作者様の表現の仕方や登場人物達の言葉など本当に自然で大好きです(*^^*)あともう2周しますね(笑) (2020年3月9日 1時) (レス) id: 1f5e46c8ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うささん | 作成日時:2019年9月22日 1時