検索窓
今日:8 hit、昨日:12 hit、合計:6,167 hit

14 ページ14

大学にあるテラス。
誰も来ないこの場所で、私とイチノくんは椅子に並んで座っていた。




「…あの日から部活観に来ないけど、なんで?」




ようやく発せられたイチノくんの一言に、
あの日の朝の記憶が蘇る。


バスローブに裸なんて…。
弁明の余地もない。





「…なんでもなにも……」




少し口ごもりながらも、返答の濁す。





「…俺のこと好きなんだと思ってた」
「俺の勘違いだった?」





私の気持ちは見透かされていたのか。
驚いて隣にいるイチノくんに顔を向ける。



イチノくんもまっすぐ私を見つめていた。





「いい感じだと思ってたのは俺だけなの?」




…いい…感じ?





私はその一言に疑問を持ち、
吹っ切って思っていることを言葉にする。





「私に気を遣ってくれているの?…さっきの山内の質問への返答もそうだけど…」
「ワンナイトしちゃって、手出したから責任取らないといけないと思ってるの?」
「そんなところで…優しさなんかいらないよ…。」




優しさが辛い。
そんな感情になるなんて思ってもいなかった。



人に優しくしなさい。
よく言われるけど、それは相手も自分もいい気持ちになるからでしょう?



…人の優しさで辛くなるなんて、
誰も教えてくれなかった。





伝えながら泣きそうになったので、
イチノくんから視線を逸らす。

下を向きながらイチノくんの返事を待った。





「…なんの話?」





なんのことかわからない、
本当にそういった様子の声に、
イチノくんを見上げる。


イチノくんの表情からも、
本当に理解できていないようだった。




「なんの話って…あの日私たち…」
「…しちゃったんだよね…?」




私も話しながら自信がなくなってきて、語尾にかけて声が小さくなる。





「…は?」
「あの日はなにもしてない」

15→←13



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (50 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
52人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

usa(プロフ) - さねさん» さねさん!いつもありがとうございます😊💖そう言っていただけて光栄です✨書いてよかったです😭🌸お言葉に甘えて自分のペースで引き続き頑張ります🔥これからもよろしくお願いします✊🔥 (2023年4月7日 22時) (レス) id: 1afdfb8f49 (このIDを非表示/違反報告)
さね - イチノくんのお話、とても素敵でした🥹♡♡お疲れ様です✨本編の深津さん、沢北の小説もとても楽しみです😊💓usaさんのペースで無理せず頑張って下さいね😊いつも応援してます!!✨ (2023年4月7日 14時) (レス) id: 0f56e55398 (このIDを非表示/違反報告)
usa(プロフ) - ぴょんさん» いつもありがとうございます!この作品を見てさらにカッコよく見えて嬉しいです🤭陰ながら支えてくれているぴょんさんには大感謝です😭✨沢北のスピンオフはもう少し先になる予定ですが引き続きお願いします🌸 (2023年4月4日 20時) (レス) id: 1afdfb8f49 (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - 映画をみてきました! 作品を読んでいるから、沢北くんと深津さんに何度もかっこいいと心動かされました💓 イチノくんのスピンオフの続きも沢北くんのスピンオフも 待ち遠しいです🫶もちろん深津さんの本編も🫶 (2023年4月4日 18時) (レス) id: 814c2e04f2 (このIDを非表示/違反報告)
usa(プロフ) - ハルレイさん» ハルレイさん!いつもありがとうございます😭💖ハルレイさんのコメントに何度救われたことか…感謝してもしきれません😢完結まで突っ走りますので、これからも応援してくださると嬉しいです😭✨よろしくお願いします!!🔥 (2023年4月1日 21時) (レス) id: 1afdfb8f49 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:usa | 作成日時:2023年3月29日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。