幸せの花束を君へ【SLAM DUNK】【深津一成】

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ある平日。


基本的に、試合は土日にあるため平日は練習になる。




今日も忙しくマネージャー業を行っていた。


選手のユニフォームの洗濯や水分補給など、想像するよりもすることはたくさんあるのだ。




今日はリンがお休みのため、より忙しく廊下をバタバタと走る。





そこで監督と誰か選手とすれ違った。

でもそんなことは日常茶飯事なので、特に何事もなく走ってその場を通り過ぎる。




でも監督の反応はいつもと違った。




「ちょっと」




なんと呼び止められた。


何かあるのかと思い、勢いよく監督の方を振り返る。







私は監督の隣にいた人物を見て、
思わず息が止まりそうだった。



体は硬直して動かない。



目を見開いたままその人物を見つめた。






「紹介するよ」
「今シーズンからチームに入ってくれる深津くん」
「バスケしてるなら知らない人はいないだろ？」





そこには2年前と何も変わらない深津先輩が立っていた。
深津先輩も私がこのチームで働いていることを知らなかったのだろうか。


私を見つめたまま、瞬きひとつせずこちらを見ている。






ニコニコしながら言う監督をよそに、
背中がじっとりと汗ばむ。



これはただ暑いからだけではない。






監督は私たちの雰囲気を感じ取ったのか、
「知り合い…？」
と気まずそうに聞いた。





その監督の様子を見て、
私は自分が固まっていたことに気づき慌てて返事をする。




「あ、実は高校の先輩で…」
「突然の再開にびっくりしたんです」




愛想笑いを繰り広げる。
監督は私の言葉に安心したのか、肩を撫で下ろし「そうかそうか」と呟いた。





「知り合いなら話は早い。よろしくな！」




そう言って監督は私に背を向けて歩き出した。




深津先輩はまだ足を止め、私を見ている。






「…夢、叶ったんだな」
「…よかったピョン」




深津先輩は、口元は上がっているが、
眉毛は下がり少し切ない表情。



なんともいえない表情に胸がぎゅっとなる。







「…うん…深津先輩は…これから先アメリカでプレイするんだと思ってた」



そういうと、深津先輩は少し間を置いてから話し始める。
何か意味深な間の取り方に、思わず固唾を飲んだ。
しかし深津先輩から真相が語られることはなかった。



「…縁あってこのチームに来ることになったピョン」
「…またあとで」




深津先輩は私に背を向け、歩き出した。




私は鼓動が速くなっているのを自分でも自覚していた。





神様、私は何か悪いことでもしたのでしょうか？



やっと三井さんを好きになれそうなのに…





どうして今ここにあなたがいるの？

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