10.初恋は突然に ページ10
松本くんのことを知ったのは中学2年生の春だった。
4月当初、全員分の国語の教科書を持って廊下を歩いていた。
石田先生、私のことなんだと思ってんのよ！
国語の石田先生は去年からよく私をこういう雑用係に任命した。
目立たない生徒だからってこき使いすぎじゃない？
断ることもできず、
せっせと一人で教科書を運んでいると、
急に全ての教科書が私の手から離れた。
急に何事かと、教科書を持ってくれた生徒を見つめる。
背が高くて、
綺麗な眉毛に綺麗な目。
教科書を持ってくれた理由がわからず、
ポカンと彼を見つめると、
「どこに持っていったらいい？」
と私に問いかけてくれる。
「あ…えっと、2年2組に」
「了解」
それだけ言って彼はスタスタと私の前を歩いていく。
「ごめんっ、私持てるよ」
そう言うと、彼は
「山川先生に頼まれたんだ」
「だから大丈夫」
とふっと頬を緩めて答えた。
「あ…そっか」
「でも2組の国語の担当は石田先生だよ？」
ふと口から出た言葉はこんなにも気の利かない言葉だった。
そういうと、松本くんは顔を真っ赤にして、
「4組の国語は山川先生なんだ…悪い。気の利いたことをしようと思ったけど失敗した」
と言って笑った。
うちはクラス数が多いから、1-3組は石田先生、4-6組は山川先生と同じ国語でも担当教諭が違うのだ。
きっと手伝う口実に先生の名前を出してくれたのだと思う。
気の利いた嘘をつこうと思った松本くんの笑顔が素敵で、思わず見惚れてしまった。
そして私は、
「ありがとう」
と言って素直に持ってもらうことにした。
私は本当に単純なやつかもしれない。
なんの見返りも求めず、
ただただ助けてくれる人がいるのだ、と感動した。
後々同じクラスの友達に聞くと、
彼は4組の“松本稔“くん。
クラブチームでバスケをやっていて、
運動神経抜群で頭もいいらしい。
なぜ友達がそんなに知っているかというと、
去年同じクラスだったからだ。
それから私は松本くんしか見えなくなった。
初めての恋だった。
恋は世界を変えると言うが、
本当にその通りだと思った。
松本くんに会えると思うだけで、
つまらなかった学校がとても楽しみになったし、
早く学校に行きたいとさえ思った。
私は初めての恋に見事なまでに浮かれていた。
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usa(プロフ) - Lyraさん» Lyraさん！コメントありがとうございます！全然気づいていませんでした😣💦すいません！今すぐ見させてもらいます❣️この作品も読んでいただいてありがとうございます！Lyraさんビックラブです🥺💗 (10月9日 21時) (
レス) id: d85cd154fb (このIDを非表示/違反報告)
Lyra(プロフ) - メッセージを送ったのですが、もしかしたら気づいていらっしゃらないのかも？って思ったのでこちらにコメントしました😉読んで下さっていたらごめんなさい🙇♂️36.の松本の照れや笑顔がすごく想像出来てほっこりしました💓 (10月8日 23時) (レス) id: 798ba1e857 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：usa | 作成日時：2023年8月23日 17時
