47.全国大会 ページ47
あれから全国大会が始まった。
地元での開催と言うこともあって、
私は毎試合、会場へと足を運んだ。
そして稔くんのチームは順調に勝ち進み、
ベスト8へと進出した。
…しかし、稔くんはまだやりたいことをできていないように思えた。
試合をみていて、
それが一番悲しかったけれど、
稔くんの選択したことなのだから仕方がない。
何度も自分にそう言い聞かせた。
私は稔くんの試合が終わった後、
2階の観客席からスッと立ち上がろうとした。
その時、私の隣にスッと静かに座る人がいた。
ふと顔を横に向けると、
そこには無表情で前を見つめる深津さんが座ったいた。
「うわ、深津さん」
驚いて声を出すと、深津さんは不服そうにこちらを見る。
「そんなに隣に来られるのが嫌ベシ？」
「いや、そう言うことじゃなくて…」
「急に来られたら驚くでしょうよ、誰でも」
冷静にそう返答すると、
深津さんは納得したのか私から目線を逸らし、前を向いた。
この人はあまり目が合わないな。
なんてどうでもいいことを考えながら、
座っていた。
深津さんが座った直後にここを離れたら、
それこそ深津さんのことが嫌だと勘違いされかねない。
私は黙って静かに座り、
次の試合が始まりそうな雰囲気のある体育館を見つめた。
「深津でいいベシ」
「…え？」
「呼び方」
「同い年だから“さん“付けはやめるベシ」
「…わかった」
急に呼び方の訂正をされたが、
特に深い意味はないのだろう。
深津は顔色1つ変えず、私にそう伝えた。
そして私は素直に呼び方を変更した。
「…深津」
「…」
「稔くんって…まだやりたいことできてないのかな」
私は思い切って深津にそう切り出す。
誰に言えばいいのかわからないこの感情を
彼ならわかってくれるのではないかと思った。
それはひとえに、
深津も私と同様に
稔くんのことを気にかけていると
そう確信しているから。
『松本はこんなところで終わっていい人間じゃないベシ』
…じゃないと、ただの試合相手を気にかける声を私にかけないだろう。
「…私、稔くんに声かけてみたんだけどね」
「やっぱり私では彼の力にはなれないみたい」
烏滸がましい気持ちなのはわかっている。
私に言われたくらいで稔くんがしたいようにできるなら、
とっくの昔から窮屈そうにプレイなどしていない。
わかっているけれど、
目に見えてわかる形で稔くんを支えられなかったことがとてもショックだった。
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usa(プロフ) - Lyraさん» Lyraさん！コメントありがとうございます！全然気づいていませんでした😣💦すいません！今すぐ見させてもらいます❣️この作品も読んでいただいてありがとうございます！Lyraさんビックラブです🥺💗 (10月9日 21時) (
レス) id: d85cd154fb (このIDを非表示/違反報告)
Lyra(プロフ) - メッセージを送ったのですが、もしかしたら気づいていらっしゃらないのかも？って思ったのでこちらにコメントしました😉読んで下さっていたらごめんなさい🙇♂️36.の松本の照れや笑顔がすごく想像出来てほっこりしました💓 (10月8日 23時) (レス) id: 798ba1e857 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：usa | 作成日時：2023年8月23日 17時
