44.おまけ話 ページ44
(アミside)
目の前にはいつもと変わらないAがいる。
…はずなのに。
「悪かったよ」
謝りながらもどこか嬉しそうな表情をしている奴が一人。
その隣で頬を膨らまし、
不機嫌そうな子が一人。
お察しの通り、私の親友のAとその彼氏の松本だ。
にしても驚いたのは言うまでもない。
あのAが初めて怒っているところを見たからだ。
「…これからは気を付けるから。ごめんな」
放課後、誰もいない教室。
私はいつもAと帰っているため、この痴話げんかが終わるのを待つためにここにいる。
帰ろうとした瞬間に、
慌てた様子で松本がこの教室に入ってきた。
松本が現れてからというもの、
Aはこの通りわかりやすく不機嫌になった。
「…やだ」
「稔くんは私が他の男子におんぶされてたらどう思うの！」
そうだ。思い出した。
今日のマラソンの体育の時間に、
マラソン中にケガをした女子を
松本がおんぶをして保健室まで連れて行っていた。
松本も最初からおんぶをしようとしていたわけではない。
周りに言われて、運べるのは松本しかいないと周りに言われ、仕方なくおんぶしていた。
あの時のAの顔ったら、見たことのない表情をしていた。
心のどこかでわかっていながらも、
Aは抑えることができなかったのだろう。
…松本の前では。
「…それは嫌だな」
「でしょ！」
そう言った勢いで、
Aはようやく松本の方に顔を向けた。
その瞬間を松本は見逃さなかったようで、
Aの両頬に手を添える。
「嫉妬してくれたのか？」
松本の言葉に、Aは目を大きく見開けて顔を真っ赤にしてわかりやすく焦っていた。
その表情をみた松本は、
ふっと表情を緩ませる。
「はは、可愛い」
松本の”可愛い”という言葉にノックオンされたのか、
Aは頭から煙が出たように体の力が抜け、怒るのをやめた。
「本当に悪かった」
「次からは絶対しないから」
松本の言葉にAもようやく納得し、冷静になったようで
静かに松本に言葉を発した。
「…私もごめん」
「仕方ない状況だったってわかってるけど嫌だったんだもん」
…Aがこんなにも素直に自分の気持ちを表現できるようになるとは。
私のほうがAと長く一緒にいるが、
心を開いているのは残念ながら松本のようだ。
でもAが自分を表現できる相手がいるのならそれでいい。
私は二人を残してすっと教室を去ったのだった。
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早く高校生編と大学生編が書きたい！！
書きたすぎる！と思っている毎日です…
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usa(プロフ) - Lyraさん» Lyraさん！コメントありがとうございます！全然気づいていませんでした😣💦すいません！今すぐ見させてもらいます❣️この作品も読んでいただいてありがとうございます！Lyraさんビックラブです🥺💗 (10月9日 21時) (
レス) id: d85cd154fb (このIDを非表示/違反報告)
Lyra(プロフ) - メッセージを送ったのですが、もしかしたら気づいていらっしゃらないのかも？って思ったのでこちらにコメントしました😉読んで下さっていたらごめんなさい🙇♂️36.の松本の照れや笑顔がすごく想像出来てほっこりしました💓 (10月8日 23時) (レス) id: 798ba1e857 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：usa | 作成日時：2023年8月23日 17時
