43.12月初旬 ページ43
12月初旬。
稔くんの全国大会が決まった。
県予選は1回戦から足を運び、
観客席で毎回稔くんの試合を見た。
何度見てもかっこいいけれど、
やっぱりどこか窮屈そうで。
深津さんの言うこともあながち間違いじゃないと言うことに、やっと確信を持てた。
どうして稔くんがそこまで窮屈そうにプレイをしているのかはわからない。
…上手なことに変わりはないんだけど…
ーーー
「県予選優勝おめでとう！」
いつもの公園でベンチに並んでそういうと、
稔くんは「ありがとう」と言って微笑んだ。
しかしその笑顔には違和感があった。
心の底から喜べていないような、
そんな感じ。
「もうすぐ全国大会だね」
「…ああ。それで俺のバスケット人生も終わり」
やりたくないことから解放される人の表情とは裏腹に、
稔くんは眉毛を下げて口角をあげていた。
少し苦しそうにも見える。
その表情を私は見なかったことにするように、スッと稔くんから目を逸らした。
…私どうして…
稔くんから目を背けているんだろう。
「今年の全国大会はうちの県でするんだ」
「…見に来てくれるか？」
「…いいの？」
「当たり前だろ」
「Aに見てほしい」
そう言って稔くんはニコッと微笑んだ。
その後、私は思いついたように稔くんに言葉を発する。
「全国大会は1週間後だったよね？」
「そうだけど…」
「どうした？」
「ううん！なんでも！」
私の突然の質問に稔くんは疑問に思ったようで、不思議そうな顔でこちらを見ていた。
しかし私はその表情をしている稔くんに対して知らないふりをする。
いつ最後になるかわからないけれど、
私もできる限り稔くんの力になりたい。
そう思った。
「そういえば最近お母さんの調子どうだ？」
稔くんは時々こうしてお母さんの様子を聞いてくれる。
私もそれには素直に答えるようにしていた。
「最近また調子悪くなってきて…」
そう。母は最近ずっと調子が悪い。
それまでわりと調子良くいたのに。
気づけばヒステリックになり、私に当たっている。
…でも、
私も稔くんに会いたくてこうしてここに来ている。
最近は母に言われなくても公園に行くようになった。
それについても色々言われたが、私にだって私の人生がある。
母に振り回されてばかりはもうゴリゴリだ。
「でも大丈夫」
「ありがとね」
そう言うと、稔くんは「そうか」とだけ言った。
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usa(プロフ) - Lyraさん» Lyraさん！コメントありがとうございます！全然気づいていませんでした😣💦すいません！今すぐ見させてもらいます❣️この作品も読んでいただいてありがとうございます！Lyraさんビックラブです🥺💗 (10月9日 21時) (
レス) id: d85cd154fb (このIDを非表示/違反報告)
Lyra(プロフ) - メッセージを送ったのですが、もしかしたら気づいていらっしゃらないのかも？って思ったのでこちらにコメントしました😉読んで下さっていたらごめんなさい🙇♂️36.の松本の照れや笑顔がすごく想像出来てほっこりしました💓 (10月8日 23時) (レス) id: 798ba1e857 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：usa | 作成日時：2023年8月23日 17時
