42.上着 ページ42
寒すぎるこの時期。
外に出るのすら嫌になる中、
体育は外でマラソンだ。
冬になると実施される体育のマラソンが好きな人はいるのだろうかと疑問に思うほど私はマラソンが大嫌いだった。
でも、1ついいことがある。
それは稔くんのクラスと合同の体育だと言うこと。
この1年、稔くんが体育をしている姿を見れていることだけで体育が好きになったほどだ。
まず先に男子が走るようで、
私はアミと2人で階段に座る。
「…寒すぎない？」
私が震えながらアミにそう言うと、
「私めっちゃ着込んで来たから」
と言いながらドヤ顔で親指を立てていた。
今から長距離を走ると言うのに着込んできて大丈夫なのか、と心の中で疑問に思う。
しかし待ち時間を考えれば、着込むのがベストなのかもしれないとすぐに納得したのだった。
「Aさん寒いの？」
「俺の上着貸してあげよっか？」
私たちの会話を聞いていたのか、
同じクラスの男子2人がこちらに寄ってくる。
本当に貸して欲しいくらい寒かったが、
男子から借りたなんてなったらまた噂をされてしまう。
私がどう断ろうかと、無理やり口角をあげながら考えていた。
すると当たり前かのようにサッと稔くんが現れ、
稔くんが着ていた上着をバッと私に投げた。
私は慌ててそれを受け取る。
「それ着て」
それだけ言って去っていった稔くんの背中を
私たちは唖然と見つめる。
稔くんの耳を見ると、わかりやすく赤くなっていた。
私は稔くんから預かった上着を抱きしめ、
顔が赤いのがバレないように顔をうずめた。
「松本嫉妬見せつけるねえ」
アミの嬉しそうな声が
私を余計に熱くさせる。
上着を貸してくれようとした男子2人は、先生からの集合の合図で行ってしまった。
「寒いなら着ときなよ」
「…うん」
アミに言われ、私は静かに稔くんの上着を着た。
私の体には大きすぎる上着から暖かさを感じる。
稔くんの匂いがするそれに、
稔くんに包まれているようなそんな感覚に陥った。
「…稔くんといたら私心臓もたない…」
そう言ってアミの肩にもたれかかると、
アミはケラケラと声を出して笑っていた。
「松本って草食系男子に見えて、実はそんなことないよね」
「好きな人にはグイグイ行くタイプだったとは」
「…そんなギャップも素敵」
「…だめだこりゃ」
アミは呆れたようにそう言いながら笑っていた。
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usa(プロフ) - Lyraさん» Lyraさん！コメントありがとうございます！全然気づいていませんでした😣💦すいません！今すぐ見させてもらいます❣️この作品も読んでいただいてありがとうございます！Lyraさんビックラブです🥺💗 (10月9日 21時) (
レス) id: d85cd154fb (このIDを非表示/違反報告)
Lyra(プロフ) - メッセージを送ったのですが、もしかしたら気づいていらっしゃらないのかも？って思ったのでこちらにコメントしました😉読んで下さっていたらごめんなさい🙇♂️36.の松本の照れや笑顔がすごく想像出来てほっこりしました💓 (10月8日 23時) (レス) id: 798ba1e857 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：usa | 作成日時：2023年8月23日 17時
