22.黒板 ページ22
松本くんに抱きしめられたあの日から、
体が熱を帯びたように熱かった。
松本くんが私のことをどう思っているかわからなかったけど、それでも松本くんに受け入れてもらえたことが嬉しくて。
付き合えなくても、
こうして繋がっていられる毎日に幸せを感じていた。
-----
学校ではいつも通りだった。
周りから見ても、松本くんと私が仲良くなっただなんて思わないと思う。
そのくらいの関係性だった。
そして、今日は日直のため、授業で使った後の黒板を消さなければならない。
高いところに届かず、苦戦していると、
スッと黒板の上を消してくれる人がいた。
見なくても匂いで誰かわかる。
抱きしめてくれたあの日から、
わすれられない匂い。
ふと隣を見ると、予想通り松本くんがいた。
何も言わずとも助けてくれる姿に、さらに胸が高鳴る。
「…ありがと」
「困ってるならいつでも言ってくれ」
「…Aさんに言われたらすぐ行くから」
後半は少し照れたのか、
松本くんはどんどん語尾を小さくしながら言葉を発していた。
“Aさんに言われたら“
その言葉に少し期待してしまう。
激しく心臓が鼓動するのを感じていた。
「…それより松本くん、どうしてこのクラスにいるの？」
照れるのを隠すのに必死で
お礼も言わずに話題を変えてしまったことに、
言葉を発した後に激しく後悔する。
でも松本くんはそんなことは気にしていなかったかのように話を続けた。
「山田に用事があって…」
「ついでにAさんも元気にしてるかなって」
「ついでって何よ」
「そこは私を気にしたついでに山田くんへの用事でしょ？」
私が冗談混じりに笑いながらそう返すと、松本くんは笑顔で「その通りかも」と言いながら声を出して笑っていた。
…やっぱり松本くんの笑顔は素敵だな。
辛い思いなんかせず、ずっと笑っていてほしいな。
そう思いながらぼんやり松本くんを見つめていると、
松本くんが再度言葉を発した。
「…ちなみにAさんに日直？」
「うん、そうだよ」
「じゃあ放課後は教室で日誌書くのか？」
「そうだね」
「…わかった」
なぜ聞かれたかはわからないけれど、
松本くんは満足そうな表情をしてその場を去っていった。
…本当になんだったんだろう。
そして松本くんが去った後、アミが寄ってきて
「いつの間に松本とあんなに仲良くなったの？」
と問いかけてきた。
松本くんと私があんなにも話していたことに、
周囲が驚いていたことを私は後から知ったのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
usa(プロフ) - Lyraさん» Lyraさん！コメントありがとうございます！全然気づいていませんでした😣💦すいません！今すぐ見させてもらいます❣️この作品も読んでいただいてありがとうございます！Lyraさんビックラブです🥺💗 (10月9日 21時) (
レス) id: d85cd154fb (このIDを非表示/違反報告)
Lyra(プロフ) - メッセージを送ったのですが、もしかしたら気づいていらっしゃらないのかも？って思ったのでこちらにコメントしました😉読んで下さっていたらごめんなさい🙇♂️36.の松本の照れや笑顔がすごく想像出来てほっこりしました💓 (10月8日 23時) (レス) id: 798ba1e857 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：usa | 作成日時：2023年8月23日 17時
