20.淡々と ページ20
「実はね、お母さん病気で」
「…病気？」
「あ、これ松本くんにしか話したことないからみんなには内緒ね！」
淡々と話すAさんに違和感を覚えつつも、
Aさんが誰も知らない話を俺にしてくれていることに少しの嬉しさもあった。
その分、しっかり聞かないとと身が引き締まる思いだった。
「うん。お父さんが2年前に交通事故で死んじゃって」
「それからお母さんおかしくなったんだよね」
そんな話をしながらもAさんは相変わらず笑顔だった。
「お母さんの体調が悪い時はこうやって公園に来るの」
「…一人にするのも怖いんだけど、家出て行かないとお母さん怒っちゃうから」
正直、いつも笑顔のAさんが
そんな重いものを背負っていることを知って驚愕した。
それよりもこんなにも話しづらい時でも、
Aさんが笑顔で話していることにも驚いてしまう。
「こんなこと言われても困るよね！ごめんね」
俺が固まっていることに気づいたのか、
Aさんは笑顔で、気にしないでね、と言った。
その言葉を聞いて俺は焦った。
その話を打ち明けられて、困っているわけではなかったからだ。
「…いや、違うんだ」
「困ってるわけじゃない」
俺は気づけばそんなことを口走っていた。
驚いたのはもちろんあるが、困るわけがない。
俺の言葉に、Aさんはキョトンとしていた。
俺は、ふうっと息を整えてからAさんを見つめる。
「…まず、話してくれてありがとな」
「話すのはすごく勇気が要っただろ？」
「俺なんかに話してくれたことに驚いたというか…」
急に自信がなくなって、文末につれて言葉が消失していく。
それと同時にAさんから目を逸らした。
しばらくしてもAさんから返事がなく、
どうしたものかとAさんの方を見る。
そしてAさんはまた無理に口角をあげた。
「松本くんなんかじゃないよ。」
「松本くんだから話したんだよ？」
Aさんはまたもや涙が溢れそうなのを、ぐっと堪えているように見えた。
俺はその表情を見逃すことができなかった。
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usa(プロフ) - Lyraさん» Lyraさん！コメントありがとうございます！全然気づいていませんでした😣💦すいません！今すぐ見させてもらいます❣️この作品も読んでいただいてありがとうございます！Lyraさんビックラブです🥺💗 (10月9日 21時) (
レス) id: d85cd154fb (このIDを非表示/違反報告)
Lyra(プロフ) - メッセージを送ったのですが、もしかしたら気づいていらっしゃらないのかも？って思ったのでこちらにコメントしました😉読んで下さっていたらごめんなさい🙇♂️36.の松本の照れや笑顔がすごく想像出来てほっこりしました💓 (10月8日 23時) (レス) id: 798ba1e857 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：usa | 作成日時：2023年8月23日 17時
