19.公園 ページ19
あの日からお互いなんとなく打ち解けたが、
特に学校で会話はしなかった。
周りから見たら今までの関係性となんら変わりないように見えていると思う。
『あの日の出来事は二人の秘密ね』
Aさんにそう言われたこともあって、
あんまり学校で話しかけない方がいいと考えていたからだ。
すれ違う時に目が合うし、
山田のクラスのいけばチラッとAさんを見てしまう。
元気に笑っている姿を見て、
ホッと一安心するのが俺の日課になった。
そして、あの後、俺はバスケが終わったらあの公園に行くのが日課になった。
いつ公園に行ってもいるAさんを疑問に思ったこともあったが、
踏み込むにはまだ勇気がなく、
何度も公園で会っているが、話題に出したことはなかった。
「松本くんはさー、好きな食べ物とかあるの？」
いつものように公園のベンチに座っていると、
Aさんは唐突に俺に質問をした。
食べ物の話など今までしていなかったため、突然の質問に驚いてしまう。
「急になんだ？」
「知りたくなっただけ！…で？何が好きなの？」
「んー、俺はチョコだな。落ち込んだ時にはチョコが食べたくなるんだよな」
俺がそういうと、Aさんは目を丸くしてこちらを見る。
そしてその後、すぐに笑顔になった。
「意外。もっと渋いものが好きなんだと思ってた」
渋いもの？
それが好きそうだと言われたのは生まれて初めてで、なんだか不服だった。
「なんだよそれ。俺は生粋の甘党だ」
「そうなの？ごめんごめん」
意外だ、と言ったようにAさんは眉毛を八の字にしてケラケラと笑った。
「…Aさんは？何が好きなんだ？」
「私？えーっとね」
Aさんは笑顔から一転、んー、と言いながら腕を組んで考える。
「唐揚げ、かな」
好きな食べ物に唐揚げをあげる人はこの世にたくさんいる。
だから何も不思議なことではない。
しかし、唐揚げと答えたAさんの表情がどこか寂しそうで、何も言えなかった。
Aさんはそれを悟ってか、またもや寂しそうな笑顔で
「お母さんがよく作ってくれたんだよね」
と言った。
作って“くれた“。
文末が過去形だったことを疑問に感じ、俺は考える間もなく質問をしてしまう。
「…今は作ってくれないのか？」
「…うん」
「…そうだったのか。すまん」
「なんで松本くんが謝るの？」
触れてはいけない話題だっただろうか。
そんなことを考えながら焦る俺を他所に、Aさんは俺を見て笑っていた。
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usa(プロフ) - Lyraさん» Lyraさん！コメントありがとうございます！全然気づいていませんでした😣💦すいません！今すぐ見させてもらいます❣️この作品も読んでいただいてありがとうございます！Lyraさんビックラブです🥺💗 (10月9日 21時) (
レス) id: d85cd154fb (このIDを非表示/違反報告)
Lyra(プロフ) - メッセージを送ったのですが、もしかしたら気づいていらっしゃらないのかも？って思ったのでこちらにコメントしました😉読んで下さっていたらごめんなさい🙇♂️36.の松本の照れや笑顔がすごく想像出来てほっこりしました💓 (10月8日 23時) (レス) id: 798ba1e857 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：usa | 作成日時：2023年8月23日 17時
