12.松本くん ページ12
『Aさん付き合ってください』
中学3年生の春くらいからだろうか。
突然このように告白されることが増えた。
何事か、と友達に相談したら、
『Aすごく人気らしいよ』
『綺麗な子がいるって噂になってる』
と言われた。
最初はびっくりしたけど、嬉しかった。
もしかしたら松本くんも私のこと知ってくれるきっかけになるんじゃないかなって。
でも、現実はそう甘くない。
綺麗だと言ってもらえることが増えれば増えるほど辛いこともある。
『Aさん結構遊んでるらしいな』
『人の彼氏とるらしいぞ』
『え、そんな人だったのかよ』
中学3年生の9月、教室に忘れ物をとりに行こうと4組の前を通ろうとした時だった。
思わぬ言葉が聞こえてきて、
ショックから立ち止まってしまった。
チラッと4組をみると、
そこには松本くんも一緒にいた。
早く立ち去りたいけれど、
体が思うように動いてくれない。
…私、人の彼氏をとったことなんかない。
…遊んでもない。
そんな噂よりそれを松本くんに聞かれていることがとてもショックだった。
松本くんにそういう人だと思われたらどうしよう。
ショックで胸が締め付けられる。
涙が溢れそうだった。
…だめだ。
泣いちゃだめ。
私が泣いたらー・・・
そう思った瞬間、松本くんが口を開いた。
『単なる噂でそんなこと言いふらすよ』
『その人と関わってみないとどんな人かわからないだろ』
『人を噂で判断するな』
真顔でそう言い返している松本くんを見て、
泣いてはいけないと我慢していた涙がこぼれ出た。
…そうだ。
松本くんはこういう人だった。
私が好きになった彼はー・・・
誰にでも優しくて裏表のない、そんな人だ。
一瞬でも松本くんを疑ってしまった自分が恥ずかしい。
…やっぱり私、松本くんが好きだ。
振られてもいい。
付き合えなくてもいいから
この想いを松本くんに伝えよう。
いつの間にか松本くんが自分の隣で笑ってほしい、
そう思うようになった。
松本くんは好きな人にどんな目を向けるんだろう。
そう思いながら公園で手紙を書いた。
時々恥ずかしさから沸騰しそうだったけれど、今までも想いを手紙に乗せた。
しかし手紙を書いた次の日、
松本くんは彼女ができたと聞いた。
私の書いた手紙は誰に読まれることもなく、ゴミ箱の中へと消えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
usa(プロフ) - Lyraさん» Lyraさん！コメントありがとうございます！全然気づいていませんでした😣💦すいません！今すぐ見させてもらいます❣️この作品も読んでいただいてありがとうございます！Lyraさんビックラブです🥺💗 (10月9日 21時) (
レス) id: d85cd154fb (このIDを非表示/違反報告)
Lyra(プロフ) - メッセージを送ったのですが、もしかしたら気づいていらっしゃらないのかも？って思ったのでこちらにコメントしました😉読んで下さっていたらごめんなさい🙇♂️36.の松本の照れや笑顔がすごく想像出来てほっこりしました💓 (10月8日 23時) (レス) id: 798ba1e857 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：usa | 作成日時：2023年8月23日 17時
