City roast ページ33
橙
タクシーを降りた中間さんの顔は、まるで今から大事な商談に向かうサラリーマンのようだ。
ここまで無理矢理連れてきてしまったけど、ついてきてくれたっていうことは話を聞いてくれるっていうことやんな？
その覚悟というか、壁を感じる。
「さぁ、どうぞ。入って。」
オレの店。
鍵を開け、振り返って中間さんを見ると、少し躊躇している。
タクシー降りた時と雰囲気全然違うやん。
背中をそっと押すとビクッと驚いて、慌てて中へ数歩入った。
薄暗い店内、いくつかの間接照明をつけて歩くとようやくぼんやり照らされる。
「座って。コーヒーでも淹れる。」
少し高いスツールに座る姿がカッコいい。絵になる。
カウンターの内にまわって、ケトルに水を入れ火をつける。
ドリッパーを用意する音、湯が沸く音、コーヒーの香り、、、静かな店内に広がる。
少しずつ気持ちを落ち着かせ、言葉をまとめる。
「はい。どうぞ。
お客さんにもらった豆、なんかええ豆らしいで。
オレ、あんまりようわからんけど。」
「ありがとう。ん、、、香りがええね。」
ふぅ、、、って、2人してカップを口に運び、息を吐く。
隣、、、座って話してもええやろうか、、、。
それとも、カウンター越しの方がいい？
目を伏せ、両手でカップを握る中間さんをしばらく見つめる。
「この前のこと、」
「酔ってたんで、、、ほとんど覚えてない。
だから、あの時のことはもう忘れましょう。」
カップのコーヒーを一気に飲み干し、立ち上がろうとするから、カウンターから回り込んで腕を押さえ、もう一度座らせる。
アホやなぁ、、、。
ほとんど覚えてないのに、忘れよう？
忘れてないからその涙なんと違う？
「オレは覚えてる。忘れられへん。
中間さんは結婚するんやから諦めなあかん、忘れなあかん、ってあれからずっと苦しかった。
そうや、、、まず謝らなあかんな。
『ごめん。』って逃げたこと。」
オレの座るスツールを近づけ、中間さんの座る座面を押して、至近距離で向かい合う。
手を取り握る。
「好きや、、、中間さん。」
下を向いて表情は見えない。
ただ、握った手から僅かな抵抗を感じる。
ほんの僅かな。
「何言うても言い訳みたいになる。
けど、あんなことしておきながら、『ごめん。』って逃げたんは、ちゃんと気持ち通じてから一つになりたかったからやねん、、、。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 185人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まさか(プロフ) - 紅月さん、そうなんです！他のどのメンバーに向けられる言葉よりも愛がこもってる、お互いにね。eightにも�猊徂忰瓩噺討个譴觜�紫がいますが、元eighterとしてはこれに慣れてたから、橙黄見て最初驚きましたもん。「茶化してない！優しい！愛！」って。 (2022年10月22日 6時) (
レス) id: 228009e50a (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - まさかさん» ホントつたない小説で良ければｗ橙黄は公式がばっちり認めてる夫婦やと思います！黄さんは「うちの相方」って言うし、橙さんは「あの子」っていうのがなんかもう最高です。橙さんの一方的だと思われがちな愛は実は黄さんからも愛の矢印がしっかり出てるのが良きです。 (2022年10月21日 21時) (レス) id: 4218c06a01 (このIDを非表示/違反報告)
まさか(プロフ) - 7129さん、表紙、見てきました！！主にJの雑誌なの？画像検索かけたらJばかりだったけど、黒髪緑くん！！ほんと少女！！私達が好きなテツくんと同じ黒髪だけど、また違う良さ！！黄くんのおもてなし、暴走する赤＆桃をどうするか！？楽しみでしかたない！！ (2022年10月21日 21時) (レス) id: 228009e50a (このIDを非表示/違反報告)
まさか(プロフ) - 紅月さん、ありがとうございます！私もチラッと紅月さんの作品を読みに行かせていただきます！！橙黄、公式だと思うんです！！（←力説）相手のことを言う時に、�爛▲ぅ牒瓩箸呂覆蕕覆い犬磴覆い任垢�。あれだけ連れ添ってその思いやり、こっちが恥ずかしくなりません？ (2022年10月21日 21時) (レス) id: 228009e50a (このIDを非表示/違反報告)
7129(プロフ) - まさかさん» 緑くん単独表紙、少女のようなかわいらしさに悶絶です💚「ベストステー○」要チェックです🔥私もまさかさんとの沼語り癒しです〜！一番深いところにズボズボにハマってます！笑「逆」って言われない緑くん、最高でした！すぐ次探しに行く！真面目！ (2022年10月21日 20時) (レス) id: f02b13cfb6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まさか
| 作成日時：2022年9月25日 11時
