きっかけはカラフルな、、、 8

ブラウンゴールド ページ10

「誕生日に会った。まぁ、いつも通りやな。

もうすぐ社会人やから、そのことについてなんだかんだ。

誕生日プレゼントにめちゃくちゃ高い腕時計渡されてさ、あんなん新卒が着けてたら引かれるって。」



「、、、他には？」



ノンアルコールのサングリアが入るグラスを口に運び、一口。



目はまだまだ逃さへんでって言うてる。



そりゃそうだ。



誕生日の日に親とした話なんて、この一年神ちゃんに愚痴っていたのに比べれば全然。



神ちゃんがここまで心配するほどのことじゃない。



それだけ心を乱した理由は一つ、、、一人、、、。



「神ちゃんに嘘はつかれへんな。」



降参。



ただ、、、自分の中でも気持ちがぐちゃぐちゃ。



こんなこと言うて一番の親友に嫌われてしまう怖さが大きい。



「、、、連絡がなくて、、、。」



「連絡？」



「1週間前、知り合った人、、、飲んで、カラオケして。」



「淳太が自分から連絡したら？」



「それは、、、できへんよ。」



「なんで？」



「これだけ何も連絡ないんよ？

連絡来ない理由なんて一つやん。」



「初めてやね。淳太。」



グラスに残るビールを飲み干し前を見ると、神ちゃんがすごく優しい表情で微笑んでいた。



「初めて？」



「うん。淳太が好きな人の話するの初めて。」



「好き？」



「違う？」



好きな人、、、照史は、、、。



「、、、わからん。けど、多分違う。」



「何で？」



「逆に知りたい。

神ちゃんはこの人のこと好きってなんでわかる？

どうなったら？」



22歳にもなった男が、歳下の友達捕まえて言うようなことではないのは知ってる。



けど、気が付いたらそう尋ねていた。



神ちゃんとはそういう話もしてきた。



いわゆる恋バナ的なやつ。



神ちゃんは友達に頼まれて飲み会にもよく参加しているし、サークルの仲間とかも多い。



告白されたという話も、その場面に遭遇したことも何度もあるが、「オレ、理想高いねん。」なんて笑って、付き合ったという話は聞いたことない。



そういえば一度も。

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