きっかけはカラフルな、、、 8

ブラウンゴールド ページ27

博物館の入り口ゲートに逃げるように歩いて行く。



照史は帰るよな。



LINE一つもなかったくらい、もう関わりたくない相手なんやもん、オレ。



結果として良かったよ、、、会うことで再確認できた。



自分がどうすべきか。



まずは連絡先を消す。



そして、、、。



早足で歩くオレの後ろを、同じくらいの速さで追いかける足音がついてくる。



まさか、照史？



後ろを振り返ると、何か言いたそうな照史。



「あのっ、、、。」



怖い、、、咄嗟にまた前を向き、館内へと歩いていく。



一歩入ると、そこはもうほぼ無音の世界と言っても過言ではない。



都道を走る車の音、遠くから聞こえる電車の音、おばさま達のお喋りは全部消えて、コツコツ歩く靴音くらいだ。



照史がまた話かけてきたのも、「しっ、、、博物館、ここ。」って冷たく遮る。



帰って、、、もう、、、。



なのに、ずっと後ろをついてくる。



オレは展示品を見ているようで頭には全く入ってこない。



なんかもうぐちゃぐちゃ、、、全部失敗やった。



「久しぶり〜！

ユキコちゃんはオレでした〜！」



って明るくふざけていれば、そこで話ができたかもしれへん。



「しょうもないことするな！」って怒られてその場でさようならできた。



それか、、、いや、どの方法もこの状態よりはマシだっただろう。



一番どうしようもない選択をしてしまった。



後悔しても遅い。



閉館時間を知らせるアナウンスが流れてきた。



よし。このまま外に出て、今日のことを謝ろう。



こんな風に呼び出してごめん。



もう二度としないから、って。



博物館を出ると空は真っ暗。



街灯やビル、車の明かりがボヤける。



あかん、、、照史にごめんって謝るまでは泣くわけにはいかんって。



自分に喝を入れつつ、退場ゲートから出て大通りに来たところで、呼び止められた。



「説明して。」



って。



振り返って、用意していた言い訳と謝罪をしようとしたとき、後ろから照史に腕を掴まれた。



そして、そのまま横断歩道を渡り、どんどん公園の中を進んでいく。



優しいねん、、、。



怒っていて、問い詰めてやるって思う人の力じゃない。

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