きっかけはカラフルな、、、 6

赤い電車 ページ48

赤



ギリ間に合った。



羽田空港からの最終電車。



横浜方面へ乗り換えた車内は、こんな時間やし人はまばら。



座席に座り、首を回す。



はぁ、、、疲れた。



3日間の出張、達成感8割、疲労感2割。まだ30歳やし。



明日1日ゆっくりしたら、こんな疲れなんてすぐ消える。



それは、上手くいった仕事のおかげでもある。



めちゃくちゃ準備したし。



メールしたら部長もよかったなって言ってくれたしな。



で、次の日、日曜は彼女とデートの約束。



開いたLINEの画面には、日曜に行きたい店の情報が彼女から送られてきている。



オーダーメイドからブランドもんまで。



「永遠の愛を誓う」なんて言葉が並ぶそれらのページを見てため息を一つ。



「マリッジブルーなん違う？男にもあるらしいで。」



少し話を聞いてもらった同僚が言っていたことを思い出す。



そうやな、、、ブルーな、、、。



明日考えよ。



出張帰りの終電乗って考えることじゃない。



視線の端に人の足が見えた。



オレと歳はそう変わらんお兄さん。



スーツ着てるし、会社の飲み会の帰りやろうか。



向かいの座席、端っこのポールにもたれて熟睡してる。



おいおい、大丈夫か？



この電車、三崎の方まで行ってしまうぞ。



終電やし、あんなところで降ろされたらビジホなんてない。



タクシー使ったとしていくらかかるか。声掛けた方がいい？



あと10分ほどで横浜駅やし、、、携帯に視線を落としそう思った時やった。



そのお兄さんの隣に同じくスーツ姿の男の人が座った。



ピタッとくっついて。



これだけ席ガラ空きやのに。



目だけ動かして見る。



テレビとかでやってるやん？昏睡強盗ってやつ。



寝ているお兄さんは、スーツの上にコートを着て、鞄を抱えている。



鞄の中から財布盗る？



それとも、スーツのポケット？



わからんけど、その男も鞄を太腿の上に置き、オレからは見えないようになっている。



もしかしたらお兄さんの友達かもしれん、、、なんてことも考えたけど、絶対違う。



男の顔は正面向いてんのに、視線は気持ち悪いくらい寝ているお兄さん方。



鞄に隠れて右腕が不自然に動いている。



もう黒やろ。こんなん。

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