きっかけはカラフルな、、、 6

タンジー ページ1

重岡さんの待つ車に早足で歩きながら考える。



、、、あと少しでこの時間も終わる、、、って。



夕方には奥さんも家へと帰るだろうから、そうなると素人探偵ごっこも任務完了。



頭の中に余計なことが浮かびそうだったから携帯を取り出し、重岡さんに連絡する。



『撮れました。今から戻ります。』



『ありがとう！！』



ほら、、、この一言がもう重岡さんの声と顔で再生される、、、。



奥さんには、今日で調査終了を伝えよう。



多分、不倫はしていないこと、これ以上の調査は無駄だと。



そうすれば、この罪悪感も胸のモヤモヤともおさらばできる。



「おーい！田中くん！」



大声で呼び止められて驚いて声のする方を向くと、重岡さんだ。



急いで走って行って、



「奥さん達がいたらどうするんですか！」



って小声で訴えるも全く真剣に受け取ってくれへんねん。



「大丈夫やって。

向こ〜うの方まで店あるんやろ？

まだまだ買い物に夢中やって。

それよりも、クレープ食べへん？

好き言うてたやん？」



確かに昨日言うたけども、、、。



結局2人でクレープを食べる。



見上げると夏らしい青空。



白いパラソルの下、白いガーデンチェアに重岡さんと向かい合って。



隣のデスクでは、3歳くらいの子どもがお父さんとお母さんとクレープを食べている。



口の周りクリームいっぱいつけて夢中で頬張る男の子と、それを笑顔で見守り、その姿をカメラに収めている。



幸せを絵に描いたような場面。



本当なら重岡さんも、、、。



辛かったりしないだろうか？、、、目の前の重岡さんは目尻を下げてその様子を見ている。



「かわいいよなぁ。」



その一言とそれを呟く重岡さんの姿が、胸に鈍い痛みと共に響いた。



何と言えば正解なんかわからない。



オレの頭の中はぐちゃぐちゃで上手く言葉になって出てくれない。



ただ、「そうですね。」としか、、、。



「朝飯あれだけ食べたのに、またカロリー摂取してしまった〜。さ、車戻ろうか。」



歩きながら考える。



重岡さんの言う通り、奥さんのあの調子ならまだまだかかりそうだ。



すぐそこにテイクアウトできそうなお店があったから、お腹が空いたってなったら重岡さんに提案してみよう。



それにしても長期戦だ。



「あ、そうだ。今まで撮った写真を重岡さんに送ります。

Bluetoothで。」



結構な枚数になる。



ん、バッチリだ。

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