きっかけはカラフルな、、、 6

マリンブルー ページ41

赤



「部長、、、こんな場所、会議室であきませんて。

新卒でがんばろうって子に止めてくださいよ。」



受話器からは神ちゃんの声。



近くにいた流星が不思議そうな顔でオレを見る。



通話をスピーカーに切り替え、廊下に向かう。



「なんだね！君は、、、。オレは何もしていない、彼女に聞いたらわかる。

変な言いがかりをつけるのはやめてもらいたいな。」



この声は、、、ウチの部長だ。間違いない。



50手前の爽やかな男前って感じの人。



話の内容からして、セクハラかパワハラか、、、。



どっちにしてもそんなもんとは縁遠い感じの人や。



この前も、家族でキャンプ行ったって、、、。



「それとも何だ？オレを失脚させるつもりか？

アイツか？オマエんとこの部長の差金か！？

だったら、、、アイツに報告なんかできないようにしてやる！！」



ガタガタ音を立てているのはテーブルか？



「部長、、、落ち着いてください。ね？」



神ちゃんの声。



顔を見合わせ、会議室のあるフロアまで階段を駆け上がる。



その間も携帯からは、神ちゃんの声だけが聞こえるけど、徐々に途切れ途切れになる。



第一会議室から順に扉を開いていく。



第四会議室、一番小さな部屋。



扉には鍵がかかっている。



ここや、、、きっと、、、。



「すみませ〜ん。今日、15時から使用予定の者なんですけど、誰か中いらっしゃいますか〜？」



でっかい声で、わざと。



少しして中から鍵が開いた。



「おぉ、、、なんだ重岡か。

すまなかったな。鍵は中にいる、、、」



「神山です。部長、、、。

名前も知らん奴のこと、どうにかしようとしてたんですか？

見損ないました。」



「は？何わけわからんことを、、、。」



携帯で録音した通話を再生する。



神ちゃんのポケットに入っていたから、衣類が擦れる音が大きいが、それでも充分だ。



「廊下で話します？オレは別にええですけど。」



会議室にもう一度入るように促す。逃さへん。



奥には、、、神ちゃん、、、。



唇噛んで、スーツが着崩れている。



怒りは頂点に達している。



それでもここは会社。



相手はなんぼクズでも上司や。



一つ息を吸ってから話す。



「部長、、、これの言い訳、有れば聞きますけど。」



顔を真っ赤にして震えている。



怒鳴って高圧的な態度で脅せば、ペーペーのオレらなんか怯むと思っているんだろう。

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