きっかけはカラフルな、、、 5

タンジー ページ32

今日は白いキャップなんやね。



なんかクスッと笑えた。



田中くんを馬鹿にしているわけじゃない。



どちからというとその逆。



仕事とはいえ、こんな朝早くから一生懸命がんばって尾行しようとする姿がかわいらしくて、、、バレてるしな、オレに。



馬鹿なのはオレだ、、、。



この書類に判子を押して車を借りたらどうなるか、、、わかっていて行動に移している。



「すみません、、、今日一日の予定だったんですけど、一泊に変更できますか？」



覚悟は決めた。



鍵を受け取り、店から車を出したところで窓を開ける。



「おはよう！！田中くん！！乗って！！」



さっきのところにまだ隠れていた田中くんに声をかけて手招きする。



驚いた顔しながらもゆっくり車に近づいてきた。



「予定なかったら今日もオレに付き合ってくれへん？

ちょっとドライブしようと思って！！」







緑



照史が尾行に加わらなくなってから、事務所の携帯はオレが持ち、奥さんと直接連絡を取っている。



『土曜日は朝8時前には家を出ると言っていました。

どこかへ行くかもしれません。

長くなりますが、家を出るところから帰るところまでの調査をお願いします。』



昨夜遅くにそんな連絡がきてた。



7時からマンション前で重岡さんが出てくるのを待つ。



こんな朝早くから家を出て、一日中図書館にいるのだろうか？



それとも本当に浮気？



駅に向かって歩き出した姿を追いながら、奥さんには、『駅に向かっています。』と報告する。



続いて、『駅に着きました。』とも。



けど、重岡さんは改札ではなくレンタカー屋さんに入って行った。



向かいのコンビニの陰から様子を伺いながら焦る。



今日の予約なんかな？



もし、今から借りるなら照史に言って車を出してもらう？



あかん、照史、体調不良だった。



タクシーでは追いきれへんやろ。



車を借りて出かけるなんて、重岡さん、浮気相手と？



なんかこの1週間信じていたものが裏切られたようで、腹が立った、、、勝手に。



オレが追うことで重岡さんの潔白は無しになるかもしれない、、、このまま、車で巻かれて見失いました、って報告した方がいい、、、なんて、、、。

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