きっかけはカラフルな、、、 5

タンジー ページ31

「びっくり、、、どうした？」



彼女だ。



元々スタイルは良い方だがそれをこれでもかと強調した下着姿でオレに跨り、オレのTシャツの裾から手を入れている。



付き合っていた頃も含め、こんなことは初めてだし、その姿も、、、。



戸惑いしかない。



酔いがまだ残っているためか、頭はクラクラする。



されるがまま、、、。けど、



「そろそろ子ども、欲しくない？」



の一言で一気に目が覚めた。



もしかして、今までの関係は間違いだったと気付いてやり直そうということなんじゃないか、、、そう思っていたオレのアホなことよ、、、。



子どもより前に話すことも改善することもあるやろ？



それすっ飛ばして子ども作ってどうする？



こんな関係のまま育てられるわけない。



、、、何を考えてる？



こわくなって、ちゃんと避妊はした。



正解だったと思う。



だって、



「シャワー浴びてくる。」



と言って部屋を出たきり、彼女は自分の部屋で寝たようだ。



こういうことだって、結婚して何度あった？



いや、、、結婚式を終えた以降はない。新婚旅行もだ。



益々わからん。



枕元の携帯を見ると、深夜2時。



明日は早いんだった。



考える時間はたくさんある。明日も、明日以降も。






「じゃあ、オレ、出掛けてくるな。行ってきます。」



彼女の部屋の前、扉に向かって小声で伝える。



マンションのドアを開けると、8時前だというのに蝉の声と蒸し暑さで、一瞬外に出るのを躊躇うくらいだ。



彼女の部屋の荷物、麦わら帽子が思い出される。



今日、彼女はあの麦わら帽子を被ってどこへ行くのだろう。



土曜日とはいえ、会社に行く人やレジャーに行く家族連れで、駅までの道にもたくさんの人が歩いている。



あと5分で営業時間になるレンタカー屋さんの前では、店員のお姉さんが植物に水を撒いていた。



するとその時携帯が鳴った。



『会社のお友達に温泉旅行に誘われているので、今日は帰りません。』



珍しく彼女からLINEがきて驚いたと同時に、オレの今日の選択は間違っていなかったと確信した。



「すみません。昨日ネットで予約した重岡です。」



8時ちょうどに入店し、テーブルで書類を記入してふと顔を上げた時、向かいのコンビニの陰に田中くんを見つけた。

タンジー→←タンジー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す