きっかけはカラフルな、、、 1

ペールクロッカス ページ39

真っ黒でハリのある髪、、、染めたこともないんやろうな。



染めたくても奨学金もらっている手前、真面目に黒髪でおらなあかんオレと、ピュアな髪のままなんの疑問もなく生きていけるコイツ、、、。



重岡さんのつむじを見ていたら、こんな格好してこの場にいるオレが惨めに思えた。



「別にええやん。

もう二度と会わへんヤツのことなんか。」



キツイ言い方、、、少なくともお客さんに言うような口調ではない。



「ええことないし。

嫌な思いさせてんのに、もう会わへんからええわなんてオレは思わん。」



重岡さんも少しだけ苛立っているのがわかる。



もういい、、、このまま怒って帰ってや、、、。



「だったら、、、オレが嫌な思いしたっていうなら、何が嫌だったかわかる？

謝るって何を？

それもわからへんのに言葉だけごめんって言うな。」



最後の方、悔しくて、情け無くて、わけわからんくて、、、絞り出すように言葉を重岡さんにぶつけた。



なのに、、、次、重岡さんから発せられた言葉は穏やかで、優しくて、、、涙が出そうだった。



「ごめん、、、アリスちゃんの言う通りや、、、。

こんなところ来るの初めてやったからさ、この前。

エミリーさんみたいなお姉さんに会うのも初めてで。

佐田さんとエミリーさんは2人の世界入ってしまうし、一人でどうすることもできずにおったらさ、同じ兵庫出身で歳も近いアリスちゃんが来てくれて、、、。

うれしくて、、、大学でも兵庫出身のヤツ友達でおらんし、ついつい喋り過ぎた。

オレ、、、あんまりようわからんのよ。

こういう、、、格好とか、、、LGBT的な？

だから、無神経なこと聞いた。

傷付ける言い方した。

それは、この前店来た時からずっと引っかかってた、謝りたいって。

けど、出禁くらってるし、、、って、今日も実は佐田さんに連れられてきた。

これも、、、。」



目の前には花束。



淡い紫の花が何種類か入ったかわいいもの。



「この花束も、佐田さんに言われて。

花束持って謝りに行け！！って。

けど、選んだんはオレ、、、この前、薄紫のドレスが、、、今日もやけど、めちゃくちゃ似合ってると思ったから、、、。」



なんなん、、、それ、、、。



今までお客さんに花束もらったことは何度もある。



「アリスちゃんって〇〇の花みたいだから〜。」とか言って、、、下心見え見え、、、とりあえずお礼言って腕に抱きついて誤魔化したりな。

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