きっかけはカラフルな、、、 1

ペールクロッカス ページ27

こういうの好きやん？男って。



単純といえば単純。アホといえばアホ、、、お兄さんもやろ？



同年代でこんなところの客と店員、、、なんか腹立つやん。



そんな腹ん中がバレへんようにニコッと笑って、適当に話に相槌をうつ。



同じ兵庫出身ということ。



東京で通じない関西弁の話。



芸能人の話。



重岡さんは、



「オレもうお腹タプタプ、、、酒はもうええわ。」



って、マスクしてずっと話していた。



オレも同じく。



これじゃあ売り上げに貢献できへん、、、なんて思いつつ、まぁ、払うんは佐田さんなんやろうし、、、って。



30分くらい話したころやろうか、



「え〜、大学は？どこ？」



話の流れ、、、当たり前やんな、、、だって、東京でどこに買い物行くかって話してたんやもん。



けど、そこはいつも通り、メルヘンアリスちゃんキャラを通す。



「大学は、、、秘密。」って。



「嫌やん、、、こんなバイトしてんのバレたら。

友達とかにも秘密やし。親にも。

重岡さんだったら言える？」



重岡さんは出版社でバイトしてんねんやろ？



それは、誰にでも言えること。



こんな格好でヘラヘラ笑っている姿、親には見せられへんやろ、、、。



チクって胸が痛んだ。



よく聞かれることやのに、、、お客さんに。こんなん。



「ごめん、、、。

けど、女装して酒注いで、ってだけじゃないん？」



え、、、？



頭殴られたかのような衝撃。



『女装して酒注ぐだけ』、、、何、その言い方、、、。



確かにそうや。



オレがしてるのはそれ以上でもそれ以下でもない。



けど、なんか馬鹿にされたような気分。



「、、、それがもう人には言えへんやん、、、。

それに、、、。」



オレが、それ以上のことしているように見えたってこと？



初めて会う人、しかも同い年くらいの奴にそこまで言われたのは初めて。



酔っ払ったとこぞの社長なんかには言われたことある。



しかも、それ以上のことを誘いながら。



指名をチラつかせ、具体的にホテル名を言われたりな。



いやらしい目付きで、身体撫で回されて、、、思い出すだけで、背筋、悪寒が走る。



ふざけるな、、、もう二度と会うことないだろう。



さっきまでの笑顔はもう出ない。

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