あの海が見える場所 21

Yokohama 赤 ページ47

『お疲れ。』



仕事終わったってことやろ？



で？



『お〜い！！神ちゃ〜ん！？』



さっきから目の前、携帯画面の明かりに照らされた顔。



斜め前から見てる。



気付いてへんし。



ほんの数メール。



ストーカーみたいやなって思うよ。



職場から駅までのルート、ここ通るやろなって。



すぐにでも声かけたい気持ちを抑え見つめる。



見つめながら、語りかけてしまう、、、心ん中で。



今日は黒のコートに黒のマフラー。



パンツはグレー。



髪色は年末年始と変わってない。



少し伸びた根元が黒く、メールだけの日々の流れを突き付けられる。



なぁ、、、あん時の涙、、、諦められへんて、、、。



神ちゃんは眉間に皺寄せたまま、携帯の明かりを消しポケットにしまう。



そして、ちょうど青に変わった歩行者用信号を見上げ、一歩踏み出そうとした。



数歩。



駆け寄る。



「ちょっと待って。


無視すんな。」



腕を掴む。

Yokohama 赤→←Yokohama 赤

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す