あの日の記憶《約ネバ》 (ページ2)

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『私一人？』

ぽつん、と用意された一人分朝食を見て呟く

｢そうよ、他の子は先に食べちゃったもの｣

『ママは？』

｢ママはこれから大切な用事があるの
ほら食べちゃいなさい｣

『はーい…』

広い広い食堂の長い長いテーブルのど真ん中

いつもの"指定席"とは違う場所

『はぁ…』

外から聞こえる子供たちの楽しげな声を耳にしながらAは黙々とパンを齧る

早く食べて、みんなに混ざろう。
そう思って口いっぱいにパンを詰め込もうとした時、不意に暗くなった視界。

｢だーれだっ！｣

『エマ!?』

｢せーかいっ｣

どうやら目隠しをされていたらしい
目を覆っていた手をとると目の前の席にはノーマンとレイが座っていた。
エマもそのままAの隣の椅子に腰かける

『みんな外で鬼ごっこしてるんじゃなかったの？』

｢1人でご飯食べるの寂しいかなって思って｣

ぼくたちこっそり隠してたんだ、せーのっ

じゃん、そう言って3人が見せてくれたのは紙に包まれたパン

｢朝ごはん、一緒に食べよ！｣

『3人とも大好きー!!』

｢しっ。静かにしろ、ママにバレるぞ｣

この後、Aが可哀想になって戻ってきたママに4人でパンをかじる姿を目撃されることになった

｢3人とも、Aを甘やかしちゃダメよ？｣

｢｢｢はーい｣｣｣

この寝坊を機にエマと同室になって寝坊する事は無くなりましたとさ

おしまい。