↓ ページ6
半分ほどまで登ると、突然後ろから声をかけられた。
「おねーさん。珍しいな、こんな山の上の神社を見ようなんて」
にっこりと笑う青年は自分より少し年上に見える。
「そうなんですか」
突然話しかけられて不信感を隠せなかった。そりゃあ健全な女子高生からしたら知らない男性から話しかけられるのも、音も立てずにここまで近づいていたことも普通に怖い。
初対面なのに少し冷たく反応してしまったことに申し訳なく思ったが、彼はそれを気にしている素振りを見せなかった。
「なぁ、一緒に上まで登ろ。俺オスマンって言うねん。あんたは？」
「はぁ…。えっと、私の名前はAです。」
正直見ず知らずの人と行動を共にしようとするこの人のコミュ力の高さについていけない。そもそも名乗ることすらしたくないが名乗られたからには自分も教えなくては無礼だろう。
平然を装いながらも頭の中ではこの後襲われたりしたらどうしようかという不安でいっぱいだった。
男の人に力では勝てないし最近のニュースは物騒な事件ばかりなのだからこう考えてしまうのも仕方ない。
「可愛い名前やな
あぁ、心配しないでも変なことはせんよ。俺はこの上に登るのが好きなん」
私の反応がよくなかったのをみて、安心させるためか笑いかけてくる。
申し訳ないが先程からうかべているその笑顔はどうにも信用出来ない。善人に見えるやつほど信じてはいけないと相場は決まっている。
でも今逃げようとしたところでどうにもならないだろうし、会話をして彼の様子や心情を探ることにした
「へぇ…ここ、どんな神社なんですか」
「ここの神様はお狐さんでな、狐が祀られてるで。あとは…そうやな、いろんな噂があるな。ここらじゃ有名なんだけど。
あ、そんなことより君関東から来たんやろ？君の話聞かせてや」
露骨に話をそらされた上、訛りがないからか関東から来たと当てられたのだろう。怪しいというか不快なことばかりだ
十分に警戒しながら軽く会話をしていると鳥居が見え、階段も残り数段となっていた。
そこで彼は突然立ちどまり、こちらを向く。
「もうすぐやな。着く前にここの噂、知りたない？」
「噂…」
先程誤魔化されたやつか。ここでとんでもない噂でも言われたらどうしろと言うんだ、とは思いつつ、好奇心を抑えられなかったので素直を知りたいと言ってみる
するとオスマンさんは口に手を当てまた怪しく笑った
「ここ、狐の神様に魅入られて行方不明になった人がいるんだとか」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
透水(プロフ) - 孔雀石さん» 畏まりました！遅筆なので時間かかってしまうかもしれませんが気長にお待ち頂ければ幸いです…！こちらこそありがとうございます (2019年11月29日 9時) (
レス) id: 2d62d7baf3 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀石(プロフ) - 透水さん» 連投で申し訳ございません。どちらも好きでたまらないのですが、2個目の方が特に、ですね...!ぜひ気が向いた時にでもお願いしたいです。ありがとうございます! (2019年11月29日 0時) (レス) id: efda21e4ed (このIDを非表示/違反報告)
透水(プロフ) - 孔雀石さん» 初めまして、コメントありがとうございます。そう言っていただけると本当に嬉しいです…!続きとはciさんの2つ目の話の方でしょうか…?リクエスト貰えるのは嬉しいので是非御気軽にどうぞ！拙い文章ですがこれからもどうぞよろしくお願いします (2019年11月28日 13時) (レス) id: 2d62d7baf3 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀石(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。すごいどれも素敵なお話で心臓がギュッてなりました...特に、推しということもありciさんのお話がとても好き...!主が可哀想なお話が好きなのでぜひ続きをリクエストしたいほど...!これからも頑張ってください。応援しています! (2019年11月28日 0時) (レス) id: efda21e4ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：透水 | 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2019年7月22日 1時
