↓ ページ37
ただいくら普通に答えたって、魔力は食べ物からも回復や蓄えをしているのに、食べ物が僅かしか家にない私はどうみてもおかしい
しかしそれを誤魔化す方法なんてなかった
彼も気づいてるだろうにそれに触れず、
「そうか、わざわざ私の為に作っているんだな。感謝する」
とお礼を述べた。それを聞いて肩の力がふっと抜けた気がした。
普通に話をしてくれるのもこうやって感謝されるのも私にとっては全てが久しぶりだった。
だからこそ、彼と長くいれば突き放された時にもう忘れていた寂しさを思い出すのではという考えが頭に浮かんだ
私の事を知れば誰だって離れた。親でさえも。
だから彼も知ればまた、『近寄るな化け物』と冷たい目を向けるだろう
それなら初めから関わりたくなんて無い
これ以上お互いのことを知る前に、何処かへ行ってくれ
必死にそう祈りながら彼がスパゲティを食べ終わるのを待ち今後の話を切り出した
「いつ仲間がここに飛ばされたと気づいてくれるかも分からない以上、あまりここから離れるのも得策ではないけれど…少し離れた所の街に宿があるから其方に泊まるのをオススメするわ」
「それはAが生気を吸い取る恐ろしい魔女だという扱いをされているからか？｣
彼の発言に一瞬頭が固まった。
ゆっくり理解して、やはり気づいてしまっていたのかと悟った
「…知ってたのね｣
こうなっては隠しても仕方がない。
彼に見せるため私は机の上に活けてあった花へ手を伸ばし生気を吸い取る。
そして次に花瓶に触れ、すっと彩度を無くす
淡い空色の花瓶はただの灰色に変わった
人前で魔法を使う時は、どうしても街の人の冷たい目が脳裏によぎる。
彼もあんな顔をしているんじゃないだろうか？
そう思うと顔が見れなかった
数分経っても彼が何も言わないので恐る恐る反応を伺うと、目を輝かして灰色の花瓶と私を見ていた
「素晴らしい…！素敵な魔法じゃないか
なによりかっこいい」
やっとでてきた素直な少年の様な感想。
そんな風に捉える人がいるなんて考えたこともなかった
嬉しいけれど、それを素直に認められない程冷えた目を向けられることが多すぎた
「これが素敵な魔法…？いいえ、こんなものは呪いよ」
「呪いなわけがないだろう！
いつかお前にもこの素晴らしさを教えてやる」
彼はガタッと椅子から立ち上がり顔を赤らめ興奮していた。
その目はまっすぐと私を捉えていた
「先ずは自分で自分の魔法を好きになれ
そうすれば──」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
透水(プロフ) - 孔雀石さん» 畏まりました！遅筆なので時間かかってしまうかもしれませんが気長にお待ち頂ければ幸いです…！こちらこそありがとうございます (2019年11月29日 9時) (
レス) id: 2d62d7baf3 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀石(プロフ) - 透水さん» 連投で申し訳ございません。どちらも好きでたまらないのですが、2個目の方が特に、ですね...!ぜひ気が向いた時にでもお願いしたいです。ありがとうございます! (2019年11月29日 0時) (レス) id: efda21e4ed (このIDを非表示/違反報告)
透水(プロフ) - 孔雀石さん» 初めまして、コメントありがとうございます。そう言っていただけると本当に嬉しいです…!続きとはciさんの2つ目の話の方でしょうか…?リクエスト貰えるのは嬉しいので是非御気軽にどうぞ！拙い文章ですがこれからもどうぞよろしくお願いします (2019年11月28日 13時) (レス) id: 2d62d7baf3 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀石(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。すごいどれも素敵なお話で心臓がギュッてなりました...特に、推しということもありciさんのお話がとても好き...!主が可哀想なお話が好きなのでぜひ続きをリクエストしたいほど...!これからも頑張ってください。応援しています! (2019年11月28日 0時) (レス) id: efda21e4ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：透水 | 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2019年7月22日 1時
