夢現【ut】 ページ34
「ほら、今度はあれ乗ろうや」
彼が指すのは目の前に見える大きなジェットコースター
私は今付き合って数年経つ彼氏と遊園地に来ていた。過去に何度も彼と来ている場所。
優しく手を掴んで誘導してくれる彼は周りの人も魅了するほどかっこいい。
「うん
またこうやって鬱と来たかったんだ。本当に楽しいよ、ありがとう｣
彼の笑顔に応えるように私も笑って足を踏み出した時
私がまるでもう二度と来れないと思っていたかのような発言を無意識にしたことに気づいた
途端に何かが脳裏をチラつく。
ほんの一瞬で一体それがなんだったのか分からなかったが、その時だけ自分の胸がきゅっと締め付けられる感覚がした。きっとそのチラついたものがいい思い出では無いということだろう。
未だもやもやしていたが、まぁそれならいいかと思い出そうとすることをやめた
ジェットコースターに乗った後、一緒にのんびりとお昼を食べながら次は何に乗ろうかと話していると
ピピピピピ
突然電子音が鳴り響き、目の前の全てがぼやけていく
徐々に頭がはっきりしていき、やかましくなっているこの電子音はアラームだと気づいた。
夢だった。
現実ではもう何ヶ月も彼とでかけていない。朝7時に目が覚めても、隣に彼はいない
部屋の様子から考えると昨日から帰ってきていないようだ。
また私の知らない女の子と楽しくお話してそのまま夜を越えたのだろう。
現状を理解しておとずれるのは虚無感だった。
夢なんて見なければここまで自分の気持ちと向き合わされること無かったのに、叶わないものを夢として見るのはどれほど残酷なことか
眠るのが怖い
夢の中での笑顔が全部消えるのが現実で、現実の辛い事を忘れるのが夢ならこんな現実を捨ててしまいたくなるから
ガチャ
玄関が開いた音がした。
誰が帰ってきたかなんて分かりきっているけれど確認のためベッドから降り廊下に顔を出す。すると、彼氏が靴を脱いでいる姿が見えた
彼は私が部屋の扉を開けた音に気づいたのか直ぐ私と目が合った
「なんや起きとったんか。ただいま」
彼はおかえりの声も聞かずに私の前を通り過ぎリビングへ向かっていった
夢との違いを教えられ、それが苦しいから
眠るのも怖いし起きるのも怖いんだ
それならいっそ、次は夢から覚めなければいいのに
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透水(プロフ) - 孔雀石さん» 畏まりました！遅筆なので時間かかってしまうかもしれませんが気長にお待ち頂ければ幸いです…！こちらこそありがとうございます (2019年11月29日 9時) (
レス) id: 2d62d7baf3 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀石(プロフ) - 透水さん» 連投で申し訳ございません。どちらも好きでたまらないのですが、2個目の方が特に、ですね...!ぜひ気が向いた時にでもお願いしたいです。ありがとうございます! (2019年11月29日 0時) (レス) id: efda21e4ed (このIDを非表示/違反報告)
透水(プロフ) - 孔雀石さん» 初めまして、コメントありがとうございます。そう言っていただけると本当に嬉しいです…!続きとはciさんの2つ目の話の方でしょうか…?リクエスト貰えるのは嬉しいので是非御気軽にどうぞ！拙い文章ですがこれからもどうぞよろしくお願いします (2019年11月28日 13時) (レス) id: 2d62d7baf3 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀石(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。すごいどれも素敵なお話で心臓がギュッてなりました...特に、推しということもありciさんのお話がとても好き...!主が可哀想なお話が好きなのでぜひ続きをリクエストしたいほど...!これからも頑張ってください。応援しています! (2019年11月28日 0時) (レス) id: efda21e4ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透水 | 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2019年7月22日 1時
