気づいた時には、もう ページ33
ここまで楽しいことなんて特になかった、思い出せるのは辛いことばっかりだから多分そう
もし、辛い記憶が次の日に消えてしまえたらこんなことにならなかっただろうに
今は放課後を迎えて1時間は経ち殆どの生徒は下校か部活をしている為、私は階段で誰かとすれ違うことなく4階にある自分の教室まで到着した
ガラリ、と扉を開けて中を見渡したが誰もいない
窓の方まで向かいながら手に持っていた汚れたカバンを床に投げ捨て、今までのことを一つ一つ振り返る
思わず顔を顰めたくなるようなことばかりだけど、少しでも自分が報われるようにそれらにも笑顔を向けよう。
カラカラと小さく音を立てながら窓を開け、ゆっくりと前を見据える。
正面に見える夕焼けは嫌味なほど綺麗だった
この中に溶けていったら、私も綺麗になるのだろうか
その時いつの間にか流れていた涙に気づき、窓にかけようとしていた足を一度戻してそれをゆっくり拭う
そしてふぅ、と深呼吸を1つ
…まぁその、こうなったのは仕方ないことだった
まるで台本でもあるかのようにここまでスムーズに進んできたから
全て、仕方のないことなんだ。
ちらりと時計を見るともう教室についてから5分がたっていた。
少しぼーっとしすぎたようだ
いつまでもここにいたって何も変わらないから
せーの、
ジャーンプ！！
「Aッ！！！！！」
声の主は顔を見なくてもわかった
でもどうしてここにいるんだろうとか、たくさんの疑問が頭に浮かぶ
だって先程まで私の肌に赤や青色を増やしていた彼女達が、彼はもう私の味方では無いのだと嬉しそうに語っていた
それなのに彼は必死にこちらへ手を伸ばし、珍しく涙を目にうかべて私の元へ走ってこようとしているのだ
間に合うわけがないのは分かっているだろうに
最期まで彼だけは私の事をちゃんと気にかけてくれていた
それが真実だった。
自分の目で見たものより、他人の言葉に惑わされた私はなんて愚かなのか
どんな言葉も伝える時間はもう無い。
ありがとうすら言う暇もなく私は重力に体を引っ張られた
気づいた時には、もう手遅れ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
透水(プロフ) - 孔雀石さん» 畏まりました！遅筆なので時間かかってしまうかもしれませんが気長にお待ち頂ければ幸いです…！こちらこそありがとうございます (2019年11月29日 9時) (
レス) id: 2d62d7baf3 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀石(プロフ) - 透水さん» 連投で申し訳ございません。どちらも好きでたまらないのですが、2個目の方が特に、ですね...!ぜひ気が向いた時にでもお願いしたいです。ありがとうございます! (2019年11月29日 0時) (レス) id: efda21e4ed (このIDを非表示/違反報告)
透水(プロフ) - 孔雀石さん» 初めまして、コメントありがとうございます。そう言っていただけると本当に嬉しいです…!続きとはciさんの2つ目の話の方でしょうか…?リクエスト貰えるのは嬉しいので是非御気軽にどうぞ！拙い文章ですがこれからもどうぞよろしくお願いします (2019年11月28日 13時) (レス) id: 2d62d7baf3 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀石(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。すごいどれも素敵なお話で心臓がギュッてなりました...特に、推しということもありciさんのお話がとても好き...!主が可哀想なお話が好きなのでぜひ続きをリクエストしたいほど...!これからも頑張ってください。応援しています! (2019年11月28日 0時) (レス) id: efda21e4ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：透水 | 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2019年7月22日 1時
