それではさよならまた来世！ ページ12
完全に油断してた。
ここの生活があまりに楽しくて
隣の国で生まれた私は小さい頃からずっと訓練されてきた
人の心の読み方、様々な武器の扱い方、色仕掛けの方法なんかも。
12になる頃には任務が与えられ、身元不明の捨て子としてこの国にやってきた
上手いこと近くに住んでいた人を誘導し、一緒に暮らすよう仕向けて何年かをすごした。
そこでの暮らしも中々楽しいものであったから、離れるのが惜しくもあったが仕事は仕事。
16歳で厳しい審査をくぐり抜け城のメイドさんになることに成功し仮親の元を去った。
ここから私に課せられた任務である
“スパイとしてこの国の情報を自国へ送ること”がやっと始まるとわくわくしていた。
盗聴器をしかけたり、書類を盗み見したりして情報を集めては自国へこっそり手紙を送っていた。
この国の幹部はなんにも知らず、私に笑いかけて優しくしてくれた。
それが物凄く戸惑った。
元の国では全くされなかった扱いばかりだったから。
国のトップやそのまわりの奴らなんてみんな自分の持ってるものをひけらかしたいだけのバカばっかで、自分より弱いものに優しくするやつなんていなかった。
私がなにか出来ても褒められることなんてなくて、失敗したら怒られて自由を奪われた。
そんなことをするような奴らしかいなかったから、当然この国の幹部も同じなんだと思ってた。
失敗しても心配してくれること、素直に褒めてくれること、八つ当たりだとか理不尽なことなんて一切しないこと、感謝してくれること。
この国には私にとって当たり前じゃなかったことで溢れていた
私はこの人たちを裏切りあんな未来も価値もない国に尽くして、それでいいのか？
いつしか自分の中でその主張が大きくなり、それにつれて送る手紙の内容はデタラメばかりになった。
そんな嘘だらけの手紙を送り続けたのは自国へのささやかな復讐と、彼らへの罪滅ぼしのためだった。
けれどそこから足がついたんだろう。
今はみんなの冷めきった目と、冷たい剣だけが向けられている
「お前がスパイであることが判明した。
何か言い残すことはあるか」
あーあ、ここで終わりか。
言い残すこと。
お礼や謝罪もあるけれど、それよりも思う
もし来世なんて言うのが本当にあるなら、来世こそあなた達の本当の仲間になりたい。
あぁもう時間だ。
振り上げられた剣は勢いよく私へ向かってくる。
それでは
「さよならまた来世！」
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透水(プロフ) - 孔雀石さん» 畏まりました！遅筆なので時間かかってしまうかもしれませんが気長にお待ち頂ければ幸いです…！こちらこそありがとうございます (2019年11月29日 9時) (
レス) id: 2d62d7baf3 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀石(プロフ) - 透水さん» 連投で申し訳ございません。どちらも好きでたまらないのですが、2個目の方が特に、ですね...!ぜひ気が向いた時にでもお願いしたいです。ありがとうございます! (2019年11月29日 0時) (レス) id: efda21e4ed (このIDを非表示/違反報告)
透水(プロフ) - 孔雀石さん» 初めまして、コメントありがとうございます。そう言っていただけると本当に嬉しいです…!続きとはciさんの2つ目の話の方でしょうか…?リクエスト貰えるのは嬉しいので是非御気軽にどうぞ！拙い文章ですがこれからもどうぞよろしくお願いします (2019年11月28日 13時) (レス) id: 2d62d7baf3 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀石(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。すごいどれも素敵なお話で心臓がギュッてなりました...特に、推しということもありciさんのお話がとても好き...!主が可哀想なお話が好きなのでぜひ続きをリクエストしたいほど...!これからも頑張ってください。応援しています! (2019年11月28日 0時) (レス) id: efda21e4ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透水 | 作者ホームページ：http://around-the-clock
作成日時：2019年7月22日 1時
