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さ「俺、お前に聞きたいこといっぱいある。そのお前が庇ってる男のことも、全部。
お前が四宮グループのスパイだろうが、まだな組の人間だ。ぜってぇ生きて帰す。」
ずるいよ、そんなの。私が卑怯な人みたいじゃん。
光希「あら、仲間愛に溢れてて良いわね。まぁ、それを壊すのがあたしの役目なんだけど。」
な「・・今は、俺の組員が話をしている。俺が相手だ。」
幸い、光希の相手はななもりが、足止めしてくれている。
その時、私の腕の中のお兄ちゃんが苦しそうに息を吐き出した。
奏「A、聞いて・・・。」
お兄ちゃんの顔は真っ青で、貧血を表していた。
呼吸もしづらそうで、心が痛くなった。
私のせいなんだ。私はまた、家族を失うんだ。
やだ。いかないで。
お兄ちゃんは優しく微笑んだ。
奏「これは、僕の遺言だと思って聞いて。」
奏「あの日・・・初めて僕らが、銃を交えた日、覚えているでしょ?」
・・・覚えてる
初めて人に銃を向けた日。
奏「絶対に勘違いされてると思うんだけど・・・僕は、Aのことが大事だったから、あの選択をしたんだ・・・」
選択というのは、私と戦うか、ってこと。
あのせいで、私はお兄ちゃんに利用されてると気づいたんだ。
奏「っ・・・もしあの時、僕がAと戦わなかったら。僕がAに勝っていたら。
Aは四宮家を追い出される予定だったんだ・・・・」
え?
奏「僕は、父上がそう言うのを聞いた。跡取りは僕で十分だ、って。
だから僕は・・・僕は・・・」
大きく息を吸い込んだ。
奏「Aにわざと負けて、黒組に入ったんだ・・・っ」
『嘘、でしょ・・・?』
なんでそんなこと。
全ては私のため?嘘かもしれない。
でも、たった一人の家族を信じなくて、どうしろって言うの・・・?
お兄ちゃんは言い切った、と言わんばかりの表情になる。
奏「これでもう、心残りは無いよ。安心して逝ける・・・」
お兄ちゃんの声が、スゥっと小さくなった。
それが何を意味するか、私には分かった。
『嫌だ、いかないで!!あの時のこと謝るから!!
ねぇ、お兄ちゃん・・・・・』
座っているのに、座ってないみたい。
ふわふわする。
私をこの世界から脱出させたのは、聞き慣れた、銃の音だった。
光希「もう我慢の限界よっ、あたし、あんたを殺すわ!!」
黒組の組長・黒澤光希。
私はこいつと出会わなければ、お兄ちゃんとも会えなかった。
でも、出会わなければ、お兄ちゃんは生きていた。
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紫月まろ。@ばか同盟。相方:めんたいこ。(プロフ) - ページ30の怪我したってやつのお写真、うちのリア友のお部屋と同じ...。 (10月14日 20時) (レス) @page30 id: 2bc2556456 (このIDを非表示/違反報告)
雪那 - こんにちはっ!本当にこのお話大好きです! (2022年8月21日 16時) (レス) id: 956d4fad93 (このIDを非表示/違反報告)
赤い実が好き - こんにちはっ!Pさん!完璧少女進めてほしいです!おもしろかったので! (2021年12月14日 14時) (レス) id: 678f51501f (このIDを非表示/違反報告)
みずな(プロフ) - 初コメと応募失礼します 瑞稀 男 天然を演じてる (2021年9月13日 18時) (レス) id: 6e79866175 (このIDを非表示/違反報告)
ネココ - この作品面白いです〜気づいたら一番右のお星さまにマウスが…更新頑張れッ!! (2021年7月29日 12時) (レス) id: d9dbb0348a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飴美味しいけど何か?、点P撲滅隊リーダー兼隊長兼事の発端者 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2021年6月12日 23時