Stand by me！【朔間凛月】 (ページ3)

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さんページ3

凛月とAのやりとりを見ていた司は不思議でならなかった。二人が兄妹だということは既に知っていたが、兄妹とはこういう関係なのだろうか。気になると問わずにはいられない性格なので、司は近くにいた嵐に視線を移す。

「凛月先輩の妹さん、ですよね。顔はよく似ていらっしゃいますけど、兄妹だとは思えない距離感なのですが？」

現に、凛月とAの間には2メートルほどの空間があって、そこには目に見えない川が流れているようだった。凛月もAもお互いに近づこうとはしない。

嵐は「困った」という風に眉尻を下げて、頬に手を当てる。

「凛月ちゃんったらあんなにかわいい妹がいるのにちっとも優しくないのよ。年の離れた妹って聞いてるけど、まだ幼稚園児なのに可哀想よねェ」

幼稚園児にしてはしっかりしている。物分かりがいいというか。我儘など言わず凛月の邪魔にならないように徹している姿を見ると、哀れになるくらい。
しかし、今日は平日だ。彼女が幼稚園児ならば、この場所にいるのはおかしい。

「ですが、なぜ彼女がここに？以前から思っていましたが、触れてはいけないことなのかと思いまして。何か事情があるのでしょうか」

Aは夏の終わり頃から凛月とともに夢ノ咲学院に通っている。もちろん生徒としてではなく、あくまで託児のようなもので、Aは凛月のあとを追って移動するだけで授業を受けているわけでも特別教室があるわけでもない。

「諸事情で幼稚園はお休みしてるらしいのよ？詳しいことはアタシも知らないわァ。凛月ちゃんったら何も話してくれなくて。自分の妹のことなのにねェ。学院側には話が通してあるらしいけど」

そのまま二人してAに視線を移す。
Aは鼻血が完全に止まるまでその場でじっとしているつもりのようだ。小さな膝を両手で抱えて、凛月のことを見つめている。彼女が本当は兄のそばにいたいことくらい、周りのだれもが気づいていた。