諦めの悪い ページ21
「別に俺はそんなお前を咎めるつもりはない」
「………」
「元来、お前が自分を犠牲にする必要など何処にも無かったんだからな
…ただ、誰でも構わないから世界を救う為に必要だった生け贄に、
お前は選ばれてしまっただけなんだから」
呼吸。
静かにあの眼がこちらを見ている。
「むしろ歓喜だ。お前の心の中に闇が生まれる源を止める気はない」
勇者は、これまでにないほど心底怯えるような、絶望の表情を浮かべていた
「…あぁ痛いんだろ？苦しいんだろ？」
ダークリンクは虎視眈々と狙いを定めそんな勇者を嘲笑う様な、心の中を掻き回す様なじっとりした声色で言い放つ
「……る…さい」
出血の一向に止まぬ体は震え、声は小さくかすれていた
それはその怪我のせいでもあったが、もう一つ理由があった
「…苦しいだろ？悲しいだろ？」
理解していた。辛さや苦しさを我慢していた事を全て。
狙い通り、心の奥底に隠していた黒い本音を言い当てられて心の傷をえぐられた事で震えている事を。
勇者の心に光は無し。
「委ねるだけだ。その胸を一突きで楽にしてやれるのは俺だけだ。…な？」
「僕は…」
「…お前が眠っていたせいで同郷の幼馴染みも何もかも全てなくなった事も、全て」
「……れ…」
＿＿なかった事にしてやるから。
そう勇者の心の傷にすり込むように、ぺらぺらと彼の抱える闇を声にしていく。
「無理矢理大人にされた身体で、居場所？無い。仲間？居ない。希望？無い。絶望的な未来の世界に独り放り込まれて孤立無援のお前」
「違う…」
「違わないさ、お前に仲間なんて、一人もいないんだよ。…実質的に役立たずの賢者。消えた姫。精神だけ子供のままのお前。独りのお前に今のこの世は変えられやしない」
手に握られた剣の切っ先は地を突いている。
「もう、お前は気付いてるんだろ？」
「黙れよ！！僕には使命がある！！賢者が待っている！！ナビィがいる…！そし……」
「魔物や人の犠牲を払ってもか？お前は自分を犠牲にしてもか？」
「ああ、そうさ！」
「…何故諦めないんだ？何の力にもならない上数も力にも劣るお前達人間共に勝ち目など無いのにか？」
「いいや！倒す！何としてでも…！」
「……ほらまたお前の…」
「うあぁぁぁぁあッ！！！！」
「闇が」
眼前のもう一人の自分に容赦なく剣を振りかざす
こちらを見ているのに避けることはしない。
否、できなかった。勝敗はついていた。
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痛い人 - すごく面白い！(*・∀・*)ノ続きめちゃくちゃ楽しみにしてます！σ(*´∀｀*)ダークリンクかっこええ♪かなり好みな小説です！(*/□＼*)チラチラ見に来ます！！ (2015年10月3日 21時) (
レス) id: 7f5409c857 (このIDを非表示/違反報告)
分配法則 - いえいえ。あ、オリジナルフラグがついていますよ！外しておかないと、叩かれるそうです！ (2015年9月10日 22時) (レス) id: 4200f29251 (このIDを非表示/違反報告)
スカァレット(プロフ) - 分配法則さん» ダーク戦、楽しいですよね！（繰り返すかは別として…）コメントありがとうございます！ (2015年9月6日 22時) (レス) id: 693c6fe782 (このIDを非表示/違反報告)
分配法則 - アラ？ダークリンク戦が楽しいなんて私と同じじゃないですかー！楽しみにしてますよー！ (2015年9月6日 22時) (レス) id: 4200f29251 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ScArlet | 作成日時：2015年9月1日 14時
