待ちわびる時 ページ18
断末魔は近い。勇者は確実に近付いている
俺が奴を殺すことに執念を持つのは、他の魔物と少しばかり違う理由があった。
こんな似非に過ぎない偽物の身体も力も要らない。欲しくはなかった。
俺は所詮自分を殺す為に作り出された偽物の身体であり、言ってしまえば虚像の依り代だ。
勇者の影をこの身に投影し、自我として闇を与えた事以外に他と何ら違いはない一匹の魔物。
…それで俺は満足だ。
しかしこの残った感情めいたものは何なのだろう。俺は魔物として奴を倒したいと本能で願い、
奴を羨望し、魔物としてあろうことか自分が一人の人間になりたいが為に奴を消してしまいたいと願った。
それに理由などは無い。分からない。
ただひたすらに、俺が望んだ事はそれだけだった。
それが俺の使命か、生きる理由なのか。あるいは戦う糧なのか。創造主たる者は何を意図して俺にこのような性質を植え付けたのか、はたまた不本意だったのか。
たが今となってはそんな事もどうでもいい考えだ。
(…だからこそ俺は選ばれた存在だ。他の模造品らとは違う、与えられた圧倒的な力を持った唯一の…)
そうしてまた堪らなく愉悦に浸る。
ただ単に俺は勇者を殺す、これは与えられた使命なのだから理由も情けも無用だろう、と。
＿＿カチャリ。
突如、耳に一つの物音が届いた。
鍵の解かれる音である。
微かに感じる人の気配。
それが徐々に強まり…そして…もはや気配でなく息遣いさえ感じる。
遠くを逃げ惑うように走る勇者を見据えながら、透けた身体で砂の上に佇んだ。
一人、籠の中を飛び回る鳥でも見るような目で小馬鹿にしたように…年相応の少年の様に、自然と笑みを溢した
ニヤリと勇者そっくりの顔の口角が上がる。
その時も不思議な空間に勇者は狐につままれたような表情をしたまま、まだ全く気付きはしなかった。
(…全く愚かな奴だ…罠に自ら掛かりに来たのだから。)
ただ、真っ白な世界に勇者が薄く敷かれた水の道を歩く音だけが綺麗に響いていた
鏡写しの同じ顔がこちらを向くまでは。
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痛い人 - すごく面白い！(*・∀・*)ノ続きめちゃくちゃ楽しみにしてます！σ(*´∀｀*)ダークリンクかっこええ♪かなり好みな小説です！(*/□＼*)チラチラ見に来ます！！ (2015年10月3日 21時) (
レス) id: 7f5409c857 (このIDを非表示/違反報告)
分配法則 - いえいえ。あ、オリジナルフラグがついていますよ！外しておかないと、叩かれるそうです！ (2015年9月10日 22時) (レス) id: 4200f29251 (このIDを非表示/違反報告)
スカァレット(プロフ) - 分配法則さん» ダーク戦、楽しいですよね！（繰り返すかは別として…）コメントありがとうございます！ (2015年9月6日 22時) (レス) id: 693c6fe782 (このIDを非表示/違反報告)
分配法則 - アラ？ダークリンク戦が楽しいなんて私と同じじゃないですかー！楽しみにしてますよー！ (2015年9月6日 22時) (レス) id: 4200f29251 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ScArlet | 作成日時：2015年9月1日 14時
