溶け落ちた身体 ページ15
…この空間には、水の強烈な激流が渦巻いている場所がある。いわゆる罠だ。
それはハイリア湖に繋がっているという話もあるし、堕ちればそこは奈落の底に続くという噂がある。
前に、一番最悪な後者を彷彿とさせるような事が起こった
誤って渦に近付いたテクタイトが呑まれてから、そのテクタイトの生を知る者はいなければ、帰って来ることもなかった。
考えたくは無いがきっと死んだのだろう。
…そう、Aは捨て身、道連れ……
もう身投げでしか勇者を打ち倒す術は無いことを悟った。
…何も出来なくなった者の最期の抵抗、それは自決や特攻だ。
ただ呆然と突っ立っている勇者を、水流の渦を目掛け、突き飛ばした
(そこに、自分ごと勇者と呑まれよう)
今の自分に一番適していて、簡単に出来ること。
でも本能が嫌だと言ってしまう。もう少しだけで良かったからまだ生きたかった…と。
たとえ平穏がつまらなくても構わない、ほんの少し誰かと笑えたなら、彼さえ来なければ、私達はもっと………
しかし、与えられた使命を決して忘れてはならない。
倒すべき者を倒して自分も死ぬのなら、魔物として真っ当な死に方だ。
為す術もなく犠牲になった魔物達に比べるなら、自分も潔く死ねると、栄誉ある死だとAには思えた
高く暗い、広いようで狭い部屋めいっぱいに宙を舞う
鳥にでもなった気分、とでも言うかな。
だがきっと鳥とはおとぎばなしだけの空想動物だ。
湖の底にひっとりと佇むこの場所は正に牢屋そのものだった。この窓すらない閉された神殿は。
Aは何も悪いことなんてしていない。Aだけじゃない。他の仲間だってそうだ。
自分は一度もこの神殿から抜け出せず、ましてや逃げ出そうという愚かな意思も抱かなかった。
私はそう造られたからだろう。
生涯、見ることの無かった世界だ。
青色をしたという高い空も、
誰に指図された訳でも無く、降り注ぐ一杯の水玉も、
空一杯に夕陽や朝陽が映える茜の空も、
真っ暗闇を照らす大量の小さな光と一つだけ大きな黄金の光も…
泳ぐよりも速く空を駆けるという鳥も。
全部、聞いた事しかないお話だ。
きっとA、水しか見たことなかったからそんな事考えるんだろう
あと十秒と言わず消える命が何を思うか、と内心笑ってしまった。
そう、あと少しで空に行ける。みんなのいる空で、Aは救われる。
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痛い人 - すごく面白い！(*・∀・*)ノ続きめちゃくちゃ楽しみにしてます！σ(*´∀｀*)ダークリンクかっこええ♪かなり好みな小説です！(*/□＼*)チラチラ見に来ます！！ (2015年10月3日 21時) (
レス) id: 7f5409c857 (このIDを非表示/違反報告)
分配法則 - いえいえ。あ、オリジナルフラグがついていますよ！外しておかないと、叩かれるそうです！ (2015年9月10日 22時) (レス) id: 4200f29251 (このIDを非表示/違反報告)
スカァレット(プロフ) - 分配法則さん» ダーク戦、楽しいですよね！（繰り返すかは別として…）コメントありがとうございます！ (2015年9月6日 22時) (レス) id: 693c6fe782 (このIDを非表示/違反報告)
分配法則 - アラ？ダークリンク戦が楽しいなんて私と同じじゃないですかー！楽しみにしてますよー！ (2015年9月6日 22時) (レス) id: 4200f29251 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ScArlet | 作成日時：2015年9月1日 14時
