僕だけの君 (ページ15)

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ep.15 ページ15

『疲れた…』

あるマンションの一室

そこにA9のMELUは一人で住む

あ、家ではMELUじゃないか、

Aだった

早朝から深夜に及ぶ収録

それも明日で活動は終わり

来月からはワールドツアーを控えている私たち

来月って言っても、もう1月末近いし、

束の間の休息って感じになるのかな

『はぁ… 会いたい…』

思い浮かべるのはあの人だ

ワールドツアーが始まってしまえば

数ヶ月会えない日が続くであろう

しかも忙しいのは私だけではない

あの人だって韓国のトップアイドルだ

2人の時間が合う日だなんて

『ある訳無いじゃん… しんどい…』

ベッドに項垂れて何のやる気も起きない私

静寂な夜に一人でいるという事実がより孤独さを際立たせる

胸がキュッと苦しくなった

その時カチャリと鍵の開く音が

そんなハズはない幻聴か？と思いつつ立ち上がり

リビングへ

「あ、だと思った。まだ起きてた」

『ソル… 』

突然の訪問者はソル

ソルは私の隣の部屋の住人

「貴女帰りのバンで死んだ目してたから、心配で来てあげたのよ」

『……うん、なんか死んだも同然の気分』

「…最近忙しいから会えてないんでしょ?」

『うん… 』

「あっちも活動始まっちゃったし、私らはワールドツアーあるし…」

リビングのソファへ腰掛け

持参してきたスキンケア道具…

この人、メンバーの部屋でスキンケアするの?

「にしても、dispatchの執着は恐ろしいわね」

『なんで撮られたのかもわかんない…内部に漏らした人が居るとしか思えない…!』

「落ち着いてA…気持ちはわかるけど後悔先に立たず。あの報道の後スタッフ減ったから分かるでしょ?」

『…もうスタッフ信用しない。ソルたちだけで十分』

私はクッションへ顔を押し付ける

私たちはデートをする程会える時間も回数も多くない

それなのにあの一度だけ行った深夜のデート

その写真を撮れらた

誰を疑うとか

そういったことを考えるのもめんどくさい

けど、この世界に身を置く人間としては

人を疑い続けないと生きていけない

『ただ、好きだから、一緒に居たいって思うのに…』

「…好きなのは悪い事じゃないよ」