【第肆話】 横浜:武装探偵社事務所 ページ9
《探偵社前に着きました!》
横浜の港近く。
坂道の上に敦と鏡花の職場『武装探偵社事務所』はある。
普段は賑やかでのんびりとした空気が漂う社内も今は張り詰めた空気が流れ、電話で繋がった敦の声が拡声され事務内に大きく響く。
探偵社員達は息を潜め、緊張した面持ちで外に直接繋がる非常扉を見詰めて居た。
「敦君達、来ました!
……此方ですッ、急いで下さい!!」
その中で一人の青年が非常扉を開け外に大声を出す。
明るめの茶髪に、少し袖が余る長袖。
彼の名を『谷崎潤一郎』と云う。
探偵社に勤めて居る調査員で普段は大人しく、よく困った様に笑って居る。
……そんな谷崎も今は緊張した面持ちで非常扉に繋がる外階段の向こうを見て居た。
「此方の準備は出来てるよ!」
谷崎に届く様に、社内奥の医務室から黒髪の美女が声を上げた。
金色の蝶々の髪留めに、黒のスカァト。凛々しく引き締めた唇に、凛とした雰囲気が美しい美女。
『与謝野
探偵社の皆にそう呼ばれる女医は、名を『与謝野晶子』。
探偵社の専属医師として働く者だ。
主に負傷者の治療や外科的医療を担う。
「―――入りますっ、女の子を奥に!」
与謝野の声と共に探偵社の非常口から敦、僅差で先程の薄緑色の青年と抱えられた少女が入って来る。
「失礼するッ!」
喩えるならば風の様に、青年は与謝野が待機する医務室に駆け込んだ。
「随分と重傷だね……寝台に寝かせな。治療をするよ!」
青年は与謝野の指示に従い、少女を寝台に丁寧に寝かした。その間にも血は流れ、青年の手を伝い床に零れていく。
そんな状態だが少女は幸運な事に、未だ息をして居た。
瀕死手前の重傷だが、与謝野からすれば逆に助かった。与謝野ならば、『瀕死の者』の方が助かり易い。其れは与謝野が持つ『力』の性質のためだ。
「悪いけどアンタは出て呉れるかい。治療に他人は……」
少女の巫女服を切る取る為か、片手に
青年は「……嗚呼」と心此処にに在らずと云った感じに虚ろげに呟いて出口に向かう。
そして与謝野と青年が擦れ違う瞬間、青年は与謝野の腕を力強く握った。
「ッ、アンタ……?!」
【第伍話】 横浜:探偵社内:医務室→←【第参話】 横浜:路地裏:晴れ
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乙女になりたい。(プロフ) - お疲れ様でした!!とても楽しい作品でした!! (2020年10月11日 1時) (レス) id: a5fb63b44e (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - あやとりさん» お久しぶりです、僕の方こそ有難う御座います!続編も合わせ、是非とも宜しく御願いします……♪ (2018年3月10日 22時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
あやとり - 焼きまんじゅうさん» ふわぁ…私こそ毎回この作品を楽しませていただいき本当にありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年3月10日 20時) (レス) id: bfcb2a7bd0 (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - はい、複数人ならば構いませんよ!リクエスト有難う御座います……☆ (2018年3月10日 20時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
優梨奈(プロフ) - 粟田口と三条(でもいいんですかね?)でお願いします! (2018年3月10日 20時) (レス) id: 7cf4248c7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:焼きまんじゅう | 作成日時:2017年10月9日 5時