【刀剣乱舞×文豪ストレイドッグス】 狂騒華櫻

【第参話】 横浜：路地裏：晴れ ページ8

傷だらけの少年は敦達の前をかなりの速度で疾走る。

(……傷だらけなのに、速い。油断したら、置いて行かれる……)

鏡花は『瀕死の重傷』者の対処方法を頭に浮かべ乍ら前を駆ける少年を観察する。

身長、体格、姿勢……

鏡花の癖と云える観察分析。
重大な場面等、こんなに焦ってる場面だからこそ、冷静に用心する事。

鏡花はその事を前に身を置いて居た環境で学んで居た。
そんな事を考え乍ら、鏡花達から少し遠く駆ける少年を追う。

「彼処です！！」

少年が指差す場所は鏡花が予測して居た路地が開けた、行き止まりの場所だった。

(……ッ、凄いにおい。

一体、何があったの……)

近付くに連れ、酷く強くなる鉄のかおり。
最初は判らなかった敦すら、今は鼻を覆い青い顔をして居る。

「連れて着ました！！」

「堀川！」

少年が先に着き、鏡花達が僅差で辿り着く。

路地の行き止まりには一人の男が刀に手を掛けた警戒態勢で待って居た。
漸く辿り着いた鏡花達は、目の前の光景に息を詰まらせる。

「今すぐ探偵社に！急いで！」
「なっ……！？」

鏡花達の目の前には、薄緑の髪に柑子(こうし)色の瞳で傷だらけの青年。その青年の傍で横たわり夥しい量の血を流す……巫女服の少女が居た。

敦は持って居た携帯電話に向かって叫んだ

「繋がってますか！？瀕死の重傷者、女の子です！！

直ぐに探偵社に連れて行きます！！！」

【第肆話】 横浜：武装探偵社事務所→←【第弍話】 横浜：路地裏：快晴

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す