【第壱話】 横浜:街中:快晴 ページ5
「今日の任務は結構簡単だったね」
「あれだけで報酬が高いなんて、金持ちの神経は判らない……」
横浜の地、人の行き交う大通りで見た目が奇抜な二人組が歩いて居た。
「……まぁ、問題無く依頼解決出来て良かったよ。鏡花ちゃんも調査に慣れて来たみたいだし」
片方は少年。
白を基準とした服を着ており、斜めに切られた前髪と右側だけが伸びて居る
一見して『妙ちくりん』な恰好だ。
「……最近は如何動けば良いか判って来た、と思う。でも、未だ敦の様にはいかない……」
もう片方――『鏡花ちゃん』と呼ばれた少女は赤い着物と花の髪留めで二つに結われた美しい黒髪。背が低く、日本人形を連想させる少女だ。
帯に付いた小ぶりな鈴がシャラン。と揺れた。
「あはは、僕もまだまだだよ。
太宰さんとか国木田さんみたいには解決出来ないし。
何時か乱歩さんみたいにスパッと解決してみたいなぁ」
「流石に先輩達に比べて経験不足。『異能力』の面でも、未だ努力……」
「うん。僕達もまだまだ精進だね」
(色々な意味で)目を引きそうな少年『敦』と少女『鏡花』。
二人は任務を終えて会社に帰る途中だ。
並び歩く通りには人が多く行き交い、快晴の中、活気溢れる楽しげな声が飛び交って居た。
ふと、建物と建物の間。
奥に続く路地裏に差し掛かった時、鏡花が脚を止めた。
「………鏡花ちゃん?」
並び歩いて居た敦は立ち止まった鏡花に声を掛けた。
__横浜には、入り組んだ路地裏が多数存在する。
入り込んだならば日常から隔離した凶悪犯罪や貧困街等の社会の闇に引き摺り込まれ、帰れなくなる。
何が起きるか判らない為、一般人は近付かない。
否……普通は存在に気付きもしない。
光と影。二つの異なる世界の境界線。
敦が「如何したの?」と同じ方向を見ても、其所には何も無い。
「………血の、においがする」
「え?」
ぽつりと呟いた鏡花は敦を置いて路地裏を駆けて行った。
グングンと見えなくなって行く鏡花は、迷わず路地裏を進んで行く。
「えっ!? ……ちょっ、一寸待ってよ鏡花ちゃん!」
突き進む鏡花に呆気を取られて居た敦も路地裏を駆けて行く。
二つの赤と白が呑まれてく。
__ まるで、現世から常世に入る様に __
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乙女になりたい。(プロフ) - お疲れ様でした!!とても楽しい作品でした!! (2020年10月11日 1時) (レス) id: a5fb63b44e (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - あやとりさん» お久しぶりです、僕の方こそ有難う御座います!続編も合わせ、是非とも宜しく御願いします……♪ (2018年3月10日 22時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
あやとり - 焼きまんじゅうさん» ふわぁ…私こそ毎回この作品を楽しませていただいき本当にありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年3月10日 20時) (レス) id: bfcb2a7bd0 (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - はい、複数人ならば構いませんよ!リクエスト有難う御座います……☆ (2018年3月10日 20時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
優梨奈(プロフ) - 粟田口と三条(でもいいんですかね?)でお願いします! (2018年3月10日 20時) (レス) id: 7cf4248c7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:焼きまんじゅう | 作成日時:2017年10月9日 5時