狭間の本丸 >>【第拾弐話】 ページ18
「伽羅ちゃん、鶴さんっ!大丈夫!?」
「五虎退!嗚呼、こんなに怪我を……」
「おいッ、加州と大和守……お前ら大丈夫か?!」
「巴形!!主は何処だ!!」
「無事ですか?今剣、岩融。……矢張り、此処に遡行軍が来たのですね」
「オイオイっ、俺の兄弟が居ないぜッ?!」
ごぉうごぉうと燃えた炎が消え、本丸を襲った遡行軍を退治した後。
嫌に静かな本丸に、多くの刀剣達が帰還した。
襲撃の際、本丸に残って居た刀剣達に親しい者が声を掛ける。
他の刀剣は荒れた本丸を見渡し顔を歪め、怒りを露わにする者、悲しそうに目を伏せる者、何故その時自分は居なかったのかと嘆く者等……皆それぞれ反応を示した。
「みーんな、遡行軍にやられちゃったよ」
「主は堀川と膝丸と共にゲートに入った。安否の確認は未だ出来て無い。
俺が隊長を任されたのに……第四部隊と非番組は皆重傷だ」
「いち兄ぃ…ごめんなさいっ!僕、あるじさまを守れませんでした…」
「物吉貞宗はあるじさまといっしょです。たしか、げーとをこえるまえにあるじさまがよんだそうですよ。五虎退がみたそうです」
「第四部隊は頑張った!唯、皆が出払った後に狙われてこのザマよ……」
「俺と安定が最初に遡行軍に会ったんだよね…… 馬小屋の近くから遡行軍が現れたよ」
「三部隊位かな?まぁ、手こずりはしたけど…… 緊急ゲートの方が集中的に狙われたっぽいね」
「俺に加羅坊、内番は練度百の奴が多かったからな。
……済まないが三条と古参の奴、避難先の様子を見て来て呉れ。霊力が足りなくてな。
暫くは安静にしてないと駄目だ」
「……光忠、俺はもう良い……他の奴を……」
残って居た刀剣は、傷を受けてボロボロだ。
然し、それより彼等は己の主の事を心配して居た。
畳に土跡が残る大広間で重傷の者の手当がされ、本丸の中でバラけて居た刀剣達が集まり始める。
第四部隊と内番をして居た刀剣達が周りを見渡し云った。
「……いそいで。あるじさまのかくにんをいそいでください」
「厭な予感がするよ。僕の弟とも繋がりが辿れないんだ」
「全く、こんな驚きは求めちゃ居ないぜ。
……皆気を付けろ、どうもきな臭い。何か裏がある様にしか思えないんだ」
古参の刀剣男士の言葉にザワつく大広間の中で、襖を勢いよく開けた刀剣が一振り。
その脇差は青白い顔で報告をした。
「今、三日月さん達三条を含め古参勢が避難先の様子を見に行きました」
「………『誰も居ない』そうです」
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乙女になりたい。(プロフ) - お疲れ様でした!!とても楽しい作品でした!! (2020年10月11日 1時) (レス) id: a5fb63b44e (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - あやとりさん» お久しぶりです、僕の方こそ有難う御座います!続編も合わせ、是非とも宜しく御願いします……♪ (2018年3月10日 22時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
あやとり - 焼きまんじゅうさん» ふわぁ…私こそ毎回この作品を楽しませていただいき本当にありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年3月10日 20時) (レス) id: bfcb2a7bd0 (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - はい、複数人ならば構いませんよ!リクエスト有難う御座います……☆ (2018年3月10日 20時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
優梨奈(プロフ) - 粟田口と三条(でもいいんですかね?)でお願いします! (2018年3月10日 20時) (レス) id: 7cf4248c7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:焼きまんじゅう | 作成日時:2017年10月9日 5時