【第拾捌話】 横浜：探偵社内：応接室 ページ25
「御二人の手当が済んだ様ですので､お話を聞いても宜しいですね？」
応接室で太宰と敦、膝丸と堀川は向かい合って座った。
堀川は医務室を気に掛けて居るが、それを表には出さず黙った侭太宰達を見て居る。
「……治療道具を貸して呉れた事、感謝する。唯……聴取をする前に聞きたい事があるのだが、良いか」
「どうぞ、遠慮なく」
背筋を真っ直ぐ伸ばした姿勢で座る膝丸は、太宰達を見据えて口を開く。
「……此処は何処の地だ？」
「え？」
膝丸の頓珍漢な問いに敦は変な声を出した。その事に気付き、慌てて口を抑える｡
「……此処は横浜、武装探偵社事務所です。主に軍警の手に負えない様な荒事の依頼を専門にする探偵事務所ですね」
慌てる敦の代わりに太宰が答えた。
その答えに膝丸は口に手を当て、何かを考える様に黙り込んだ。
「……あの、今は何年ですか？」
黙り込んだ膝丸の代わりに、今度は堀川が口を開く。
又々素っ頓狂な質問に、敦は不思議に思い乍らも答えた。
「……膝丸さん、判りますか？」
「否、少なくとも俺は来た事が無い。年代的にも此の地は未だ遡行軍に目を付けられて居ない年だったのかもな」
「僕も思い当たりません…矢っ張りゲートの故障､でしょうか？
越えてる途中は違和感とか無かったんですけど……」
「力が不完全な侭無理矢理こじ開けて飛び込んだからかも知れん。
本丸との繋がりも辿れないからな……俺達だけでは打つ手無しだ」
「……そうですね」
目の前で飛び交う膝丸と堀川の会話に、敦は戸惑い乍らも口を挟む。
「あの……何か問題でも？」
『ゲート』『本丸』『遡行軍』？ 敦達には聞き慣れない言葉ばかりが出て来る。
一体、彼等は何を知って居ると云うのだろうか？
「……いや､済まない。此方の話だ。それで､俺達は何を話せば良いんだ？
最初に云った通り、俺達は凡てを話せない。……が、話せる範囲で話そう」
膝丸達は居住まいを正して太宰達に向き直った。
静かに膝丸達を見乍ら、太宰が話しを進める。
「……そうですか。では先ず最初に貴方達の名前を教えて頂けませんか？」
「……俺は膝丸。それだけを名乗る」
「……僕は堀川です」
『膝丸』と『堀川』。……何か引っ掛かるが、太宰は追求せずに敦に次を促した。
「えっと、膝丸さん達は何処から来たんですか？」
少し考え込み、膝丸は口を開く｡
「……云うならば、此処から遠い遠い場所。だろう」
其処からは質疑応答の様に淡々と聴取が続いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 608人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
乙女になりたい。(プロフ) - お疲れ様でした！！とても楽しい作品でした！！ (2020年10月11日 1時) (
レス) id: a5fb63b44e (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - あやとりさん» お久しぶりです、僕の方こそ有難う御座います！続編も合わせ、是非とも宜しく御願いします……♪ (2018年3月10日 22時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
あやとり - 焼きまんじゅうさん» ふわぁ…私こそ毎回この作品を楽しませていただいき本当にありがとうございます！これからも頑張ってください！ (2018年3月10日 20時) (レス) id: bfcb2a7bd0 (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - はい、複数人ならば構いませんよ！リクエスト有難う御座います……☆ (2018年3月10日 20時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
優梨奈(プロフ) - 粟田口と三条(でもいいんですかね？)でお願いします！ (2018年3月10日 20時) (レス) id: 7cf4248c7f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：焼きまんじゅう | 作成日時：2017年10月9日 5時
